放射能の怖さ訴え新著 第五福竜丸元乗組員大石さん(1/27 14:37)

 ビキニ事件で被ばくし、核兵器と放射能の恐ろしさを訴え続けてきた焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」の元乗組員大石又七さん(78)=東京都=が、戦争や核兵器の誕生から現在までの歴史を振り返った「矛盾」(武蔵野書房)を出版した。
 著書は4冊目。昨年10月には2冊目の「ビキニ事件の真実」が「THE DAY THE SUN ROSE IN THE WEST」(太陽が西から昇った日)の題で英訳され、ハワイ大から刊行された。大石さんは「日本人も米国人もビキニ事件を知らない。放射能の本当の怖さを学んでほしい」と話している。
 「矛盾」には、日本政府が事件を早々と幕引きし、原発導入を急いだ経緯や「原発は大きなエネルギーを生むが、核兵器に最も近い危険な側面を秘めている」との警告も盛り込んでいた。
 書き終えたころ、東京電力福島第1原発事故が発生。「放射性物質で食べ物が大変なことになるとビキニ事件で経験したはずなのに」。政府や学者が繰り返す「健康に影響はない」という言葉が当時と同じであることにがくぜんとした。
 乗組員には当時一時金が渡されたが、広島、長崎の原爆被爆者が受けている、生涯にわたる健康診断や手当の対象からは外されたままだ。23人のうちこれまでに14人が亡くなっている。
 大石さんは肝臓がんで手術。肺に腫瘍ができ、においも感じなくなった。1日に飲む薬は32種類。だが、被ばくとの因果関係は認められていない。「国は『あなたたちはもう決着済みだ』という姿勢。福島でそんなことが繰り返されないよう、ビキニ事件を忘れてはならない」。これからも体験を伝え続けるつもりだ。

新著「矛盾」と著書の英訳本を手にする「第五福竜丸」の元乗組員大石又七さん=2011年11月、東京都大田区

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