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きらめきデイズ(5・完)老舗旅館おかみ、選ばれ続ける温泉地へ

(2018/11/3 11:00)
旅館を後にする宿泊客に熱海観光のポイントを説明するおかみの鵜沢友美さん=10月下旬、熱海市の「新かどや」
旅館を後にする宿泊客に熱海観光のポイントを説明するおかみの鵜沢友美さん=10月下旬、熱海市の「新かどや」

 「お元気で。またお待ちしています」。午前11時。熱海市の天神山山麓に立つ旅館「新かどや」のおかみ鵜沢友美さん(47)は、宿を後にする客に張りのある声で感謝し、再訪を願って見送りする。親孝行のために奮発した家族旅行だったと明かす若者。「世話になった」とつえを突くスーツ姿の老紳士。眼下の熱海湾や街に向けて急坂を下っていく車に、両手を何度も大きく振った。
 明治時代の1892年に「新角玉旅館」として創業した老舗の4代目。生粋の熱海っ子だ。生まれた時から自宅の風呂は旅館と同じ59度の源泉掛け流し温泉。東京で過ごした大学時代、いつまでもぽかぽかして体の温まり方がほかの風呂とは違うことに初めて気付いた。
 おかみ修業を始めたのは、大学を卒業し、カナダのホテルで修業を兼ねて1年間滞在した後の25歳。旅館は弟に任せて海外で生活したいという夢があったからだ。「やっぱり私は生まれ育った熱海が好き。旅館を継ごう」と決意し、帰国した。
 最初に学んだのは着物の着付け。幼少期を知る常連客の前に着慣れない着物姿で現れると、「おかみさん」とわが娘のように温かく声を掛けられ、心が救われた。客の「好み」は懸命に覚えた。「でも、たまに空回りするの」。ビーフシチューにはパンが良いと前回宿泊時に要望した客にパンを添えると、本人は「覚えていない」と驚きつつ、会話を記憶していたことを褒められた。そして「また来るよ」。再訪の約束はおかみとして無上の喜び。客に育てられ、一つ一つ自信を付けた。
 午後2時半。いよいよ宿泊客を迎える。旅館の顔としての、大きな仕事だ。表情を引き締め、畳とじゅうたんのフロントに立つ。「お部屋でごゆっくりなさってください」と声を掛ける。食事は創業以来の部屋食にこだわる。流行している別の食事形式を検討した時期もあったが、仲居と会話しながら料理を楽しむ、日本の昔ながらの旅館があってもいいと鵜沢さん自ら経営を左右する決断を下した。現在、親子連れや高齢者から好評だ。「旅館は人」という信念を持ち、「会話」に重きを置く。
 新幹線が開通した前回と同様、2020年東京五輪・パラリンピックを前に熱海は再注目されている。東京近郊でありながら自然豊かな温泉地。昭和レトロのスナックや純喫茶など地元個店がひしめき、坂道以外は生活しやすい。「五輪の先こそが大切」。全国の中で、熱海温泉が選ばれ続けるために自らできることは何か-。居心地の良い旅館を目指し、努力する毎日だ。

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