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きらめきデイズ(1)鉄道運転士、誇りと優しさ乗せ出発

(2018/10/30 11:00)
伊豆急行唯一の現役女性運転士の小林みどりさん=10月17日、伊豆急下田駅
伊豆急行唯一の現役女性運転士の小林みどりさん=10月17日、伊豆急下田駅

 美しい海岸線に青い海。古くからの伝統や文化―。伊豆東海岸で見つけた「大好きな場所」で、仕事を通じて地域愛を注ぐ女性たちを紹介する。
     ◇
 伊豆急行唯一の現役女性運転士、小林みどりさん(44)は、「平成」とともに伊豆東海岸を走り続けてきた。
 特急「スーパービュー踊り子号」運転席で微動だにせず、前を見る。「出発進行」。伊東駅から南下し、片瀬白田駅を過ぎると、一大景観へ。しぶきまで見える荒々しい岩の波打ち際を並走し、遠方に伊豆大島を望む。やがて、長いトンネルを抜け、ゆっくり減速して終点の伊豆急下田駅に到着。45・7キロ、約1時間の鉄路を敬礼で締めくくる。
 2017年3月24日。大きな夢をかなえた。4年ぶりに下田市の須崎御用邸に入られる天皇、皇后両陛下の特別列車を運転した。運転士となって22年目の栄誉だった。
 伊豆急に日本の鉄道で初の女性運転士が誕生したのは平成に入って5年目の1993年。そのさなかに入社試験を受けた。「私、やります」。2期生挑戦の意思を問われ、迷わず手を挙げた。
 列車も人間も同じという。一両一両に癖があり、中には「じゃじゃ馬」もいる。上手に乗りこなす技術を積んだ。出発や信号確認、停車…。指差(しさ)に続いて発する「出発進行」「よし」などの喚呼は同僚の2倍大きな声を出す。無事故は当たり前。基本動作の鍛錬は今も欠かさない。日々の電車で「お姉ちゃん」と応援してくれる乗客の子どもたちもいて、鉄道運転の仕事はやりがいそのものだ。
 特別列車を運転した日も普段通り、平常心で臨むことができた。伊豆急下田駅到着時はホッと一息つき、「よく頑張った」と小さな声で自分を褒めた。男性社会の鉄道の世界。「女性には無理」という言葉も糧に変え、「女性でも一人前にできる」と証明した。努力を認め、機会を与えてくれた会社に感謝する。
 日々の勤務を終え、自宅のある下田行きの電車で心を癒やしてくれるのは伊豆稲取駅を過ぎた後、切り立った岩壁と海を星が照らす夜景。下田は父の仕事のため生後3カ月で東京から転居して以来、暮らし続ける場所。四季折々の自然に加え、「各国の世界遺産と肩を並べる海や温泉、歴史、食が全てそろう街」と誇る。
 駆け抜けた「平成」の時代に、社会から失われたのは優しさだと考える。鉄道にも優しさを求め続ける。今は耳の不自由な人への配慮が不足すると感じ、勉強中の手話に磨きをかける。「地域への優しさ。それが地域密着。『伊豆急すごい。伊豆すごい』と喜ばれたい」

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