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家族の軌跡~ダウン症の次男との10年(4・完)母の“舞台”

(2017/11/25 11:00)
えほん文庫のママ会に集う母親たちと言葉を交わす大村由実さん(中央)=10月下旬、浜松市北区
えほん文庫のママ会に集う母親たちと言葉を交わす大村由実さん(中央)=10月下旬、浜松市北区

 大村由実(52)が自宅の一角に設けている「えほん文庫」の開館日には、大勢の家族が訪れる。定期的に開くママ会やイベントは、母親や子どもたちの憩いの場。「ここでたくさんの人たちと知り合い、交流が生まれた。ダウン症の剛輝を授かったからこそ」
 文庫は次男剛輝(10)を妊娠する直前に構想した。芝居を演じるために買い集めていた絵本を貸し出そうと、出産から3カ月後にオープン。今月で10周年を迎えた。

 15年前、由実は育児に専念するため、劇団を辞めた。長女真由帆(18)は当時3歳。長男晃央(15)を妊娠し、せりふを覚える余裕がなくなったからだ。
 衆目を集める演劇の舞台を降り、「自らの存在価値を見失った」。代わりに娘に夢を託そうとした。「ピアニストにしたい」「バレリーナになれるかな」。毎日、習い事へ通わせた。
 10年前、剛輝が生まれた。「障害のある子がどうしてうちに」。答えのない問いを繰り返した。家族は障害を気にしていなかったが、「家族に申し訳ないことをした」と思い詰めた。
 わだかまりの矛先は、真由帆と晃央に向かった。飲み物をこぼしただけでもいら立ち、きつい言葉で叱り付けた。しばらくして、真由帆は不登校になった。
 「私と向き合って」「私に期待しないで」。娘の声は、今でも耳に焼き付いている。「なんて駄目な母親なんだろう」。由実はますます自分を責めた。
 真由帆が立ち直り、高校へ進学した直後、夫の昌良(58)が失業した。再就職先が見つからない日々。家族が殺伐としていた時、支えとなったのがえほん文庫だった。

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