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家族の軌跡~ダウン症の次男との10年(3)父の起業

(2017/11/23 11:00)
生計を立てるため、「ITロボット塾」で小中学生にプログラミングを教える大村昌良さん=10月中旬、浜松市中区
生計を立てるため、「ITロボット塾」で小中学生にプログラミングを教える大村昌良さん=10月中旬、浜松市中区

 10年前、ダウン症の次男剛輝(ごうき)が生まれてから、父の大村昌良=当時(48)=は毎日、午後8時には帰宅した。大手企業の半導体開発エンジニアとして、それまでは深夜まで残業する日々だった。
 妻の由実=同(42)=は、わが子に障害があることを受け入れられず、精神的に追い詰められているようだった。「突然気が変になって家族のことを忘れてしまうのでは。あっちの世界へ行ってしまうのでは」。昌良は気が気でなかった。
 小学2年の長女真由帆や年中園児の長男晃央(あきひろ)と比べ、剛輝は筋力が弱く、血流や排便を促すマッサージが欠かせなかった。発達も遅い。「親としてできることは何でもしたい。少しでもこの子のためになるなら」。将来上手に運動ができるようにと、手足の屈伸もした。
 その経験が“第二の人生”につながるとは、知るよしもない。毎日が必死だった。
 真由帆が中学に行かず不安定だった2013年3月、管理職として県外への転勤が避けられなくなり、辞めた。真由帆だけでなく剛輝にも手が掛かる時期に、単身赴任などできなかった。
 いったん近くの会社に就職し、娘の高校進学が決まったのを見届けて、好待遇の栃木県の会社へ移った。ところが一転、会社は業績不振となり、15年6月に解雇された。
 半年にわたって120社にエントリーしたが、面接に呼ばれたのは4社。定年間近を理由に断られたのを機に「もう会社勤めはせず、やりたいことをやろう」と決めた。
 失業保険の打ち切りが迫る中、同年12月、東京で開かれていた国際ロボット博覧会へ出掛けてひらめいた。「化繊の糸とセンサーワイヤを織り交ぜ、触れる物の固さや強さを計測できる布を作れないか」。開発には、エンジニアの経験も、趣味のプログラミングも生かせる。

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