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働き続けたい 両立の壁(下)がん 急がれる患者実態把握

(2017/6/22 11:00)
がん体験者の交流会で、参加者と和やかに語らう小磯朋子さん(中央)=5月下旬、沼津市内
がん体験者の交流会で、参加者と和やかに語らう小磯朋子さん(中央)=5月下旬、沼津市内

 「がん再発後、働く気力を取り戻すことができたのは、同じようにがんと向き合っている仲間のおかげ」。熱海市の小磯朋子さん(31)は、女性がん患者を支援する県内の認定NPO法人オレンジティの仲間との出会いを振り返る。
 24歳で子宮がんの告知を受け、子宮を摘出。27歳で再発し、「余命1年」と宣告された。抗がん剤が効いて劇的に回復したが、一度は死を覚悟しただけに、「子どもを産めない体で、今後どう生きたら良いのか。恋愛や結婚はできるのか」と、かえって落ち込んだ。
 当時の職場は個人経営店。無理せず働ける時だけ働けばいいという店主の配慮で、正社員からパートに切り替えたが、働く気力が湧かず、欠勤が続いた。心療内科を受診しても改善しなかった。
 「周りに迷惑を掛けている」と思うと心苦しく、再発から1年半後、退職届を提出した。家にひきこもっていても仕方ないと参加したのが、オレンジティが主催するがん体験者の交流会だった。「一人ぼっちではない、と感じた。心を開いて人生や就労の悩みをようやく相談できた」。現在は同会のボランティアスタッフを務めながら、障害者の就労支援を行う事業所で指導員として働く。
 女性の象徴である子宮や乳房を失って心に傷を負い、就労がうまくいかなくなるケースは少なくない。県中部の独身女性(52)は4年前、乳がんになり、依願退職した。正社員だったが、職場環境への不満もあり、治療に専念しようと決めた。
 手術後、通院と両立しやすいパートを選んだ。しかし、再発の不安で、仕事に集中できない。人間関係にもなじめず、半年で退職した。その後もパートを転々とする状況だ。職場には病気を隠し通している。「話した方が働きやすくなるかもしれないが、子どもがいないうえに、乳がんになり、かわいそうな女性と思われたくない」
 がんにかかった年齢を国の男女別統計でみると、20~54歳の働き盛りの世代は女性の方が多い。子宮がんや乳がんといった女性特有のがんが背景にあり、働く女性の増加に伴い、患者の就労や生活を職場や社会が支える仕組みづくりが求められている。
 静岡県は2016年度、がん患者の就労支援策の一環で、女性がん患者対策の推進を新たに打ち出した。しかし、具体的な取り組みはこれからで、女性患者の就労や離職の実態は把握できていない。
 乳がん患者会「あけぼの静岡」の星野希代絵代表は「働く自信を失った女性患者は、心を閉ざして孤立しがち」と指摘し、「女性患者の離職予防にどんな支援が効果的か探るため、県は病院や職場などと連携し、女性患者の就労上の悩みを早急に検証してほしい」と期待する。

 ■働き盛りのがん患者の就労支援をどう進めるか。
 ■溝口紀子氏
 治療を受けながら安心して働ける職場づくりに努力する企業にインセンティブを与えます。小規模事業所には、合同で対応できる仕組みを作ります。

 ■川勝平太氏
 がん患者への偏見をなくす運動を推進中です(県の健康福祉部が担当)。

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