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ダブルケア(2)子どもへの葛藤 運動会か、祖母の病院か

(2017/1/6 11:00)
特別養護老人ホームに来た英子さんに「ありがとう、ごめんね」と繰り返す祖母
特別養護老人ホームに来た英子さんに「ありがとう、ごめんね」と繰り返す祖母

 育児と介護を同時に抱える「ダブルケア」の担い手は女性が多い。子どもの就寝後に介護を必要とする家族が徘徊(はいかい)するなど身体的な負担は大きい。母親の立場としては、介護に手いっぱいで「子どもに十分向き合えているか」という特有の不安にも直面している。
 静岡市のパート英子さん=30代、仮名=は、3人の子育てと認知症の祖母(80)の介護を抱えて暮らす。母ががんを患って亡くなった後、祖母の症状は一気に悪化した。
 午前4時に起床し、祖母が夜中に汚したトイレや廊下を片付け、朝食を作る。午前6時に祖母が再び汚したトイレを掃除し、子どもを保育園や学校に送り出す。その後、祖母が同じことをする。下着をつけず、便を落として歩く日もある。
 子どもの成長は生きる希望だったが、「我慢させた」。末っ子の保育園の運動会の朝、祖母が腸閉塞(へいそく)になり、救急車を呼んだ。錯乱して「助けて」と叫ぶ祖母を抱きしめてなだめる横で、運動着姿の末っ子は困り顔で立ち尽くしていた。中学生の上の子は涙をこぼして「ママは運動会に行ってあげて」と訴え、救急車への同乗を申し出た。しかし、未成年者は同乗できない。運動会か、病院か―。簡単に結論が出ない。「ママはどうしたいの」と迫る上の子の言葉が胸に刺さった。
 生活費を稼ぐため、英子さんは働いた。デイサービスを利用しない日、祖母は一人で留守番をしていた。豪雨の日に室内干しの洗濯物を外に出したり、鍋を火にかけたまま煙が立ちこめる部屋でテレビを見たりと、帰宅して驚くことが増えた。何事もない日もあるだけに、「なぜ今日は」と落胆し、腹が立った。

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