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戦時の記憶、児童に伝承 デイサービス利用者が訪れ語り部 浜松

(2019/1/22 08:56)
戦時中の暮らしについて児童に説明する高齢者(左)=浜松市北区細江町の市立中川小
戦時中の暮らしについて児童に説明する高齢者(左)=浜松市北区細江町の市立中川小

 浜松市北区のデイサービス施設「げんきプロジェクト根洗荘」の高齢者が市内の小学校で、語り部として戦争体験を伝えている。空襲や勤労動員、家族の出征など戦争に翻弄(ほんろう)された心境を吐露し、平和の尊さを児童に訴える。子どもの学びへの貢献は高齢者の生きがいにもつながっている。
 2016年1月から年間5校程度を訪問している。毎回、同施設の利用者のうち70~90歳代の十数人が児童の質問に答える形式で、防空壕(ごう)に避難した浜松空襲、出征する父親の無事を祈り手渡した千人針など、当時の記憶を赤裸々に語る。目に涙を浮かべ「戦争を二度としてはいけない」と訴える人もいて、児童からは「昔の風景が現実のように想像できた」「平和な暮らしをずっと続けたい」といった感想が寄せられる。
 同施設に勤める加藤はるさん(79)が利用者43人の戦争体験を取材し、13年に書籍「お年寄りたちの聞き取り文集 照る日 曇る日 今日もまた」を自費出版したのが活動のきっかけ。小学校に書籍を寄贈するうちに「せっかくなら体験者の生の声を」と語り部も行うようになった。
 つらい記憶を人前で明かすのに当初は後ろ向きだった利用者も、児童から送られるお礼の手紙に背中を押されて積極参加している。同施設の介護士倉田真樹さん(45)は「利用者の生活も人の役に立つことで充実する。子どもたちには時代背景を知り高齢者との接し方を考える世代間交流の機会にもなれば」と活動の意義を話す。
 一方、書籍に体験談を寄せた利用者のうち半分ほどがすでにこの世を去った。戦争の記憶をつむぐため残された時間は少ない。現在も利用者から体験の聞き取りを続ける加藤さんは「伝承は今しかできない。高齢者一人一人の人生に思いをはせたい」と言葉に力を込めた。

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