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柳田芙美緒「写真室」老朽化で取り壊し危機 静岡県護国神社内

(2018/8/8 07:32)
老朽化問題に直面している柳田写真室。柳田芙美緒が撮影した郷土部隊の写真が所狭しと並んでいる=6日午前、静岡市葵区
老朽化問題に直面している柳田写真室。柳田芙美緒が撮影した郷土部隊の写真が所狭しと並んでいる=6日午前、静岡市葵区

 静岡の郷土部隊・陸軍歩兵34連隊付きの写真師、柳田芙美緒(1909~86年)が撮影した約2万点の写真を収蔵する県護国神社内の「柳田写真室」(静岡市葵区)が、建物の老朽化に伴い取り壊しの危機に直面している。写真室が入るかつての「将校集会所」で、現在は「護国記念館」と呼ばれる建物の保存にめどが付かないためだ。三女の夕映さん(70)=同区=は「貴重な建物と写真の展示場所を守らなければ」と危機感を募らせる。
 旧将校集会所は築年数100年以上とみられる。元は連隊の陸軍将校だけが使うことを許された施設で、連隊のあった現在の駿府城公園内(同市葵区)に建てられていた。戦後、周辺の兵舎が取り壊される中で「残すべき」と柳田が提唱。地元政財界が動き、50年代後半に神社境内に移築された。
 柳田は移築後に建物内に写真室を開設し、戦争遺族らの七五三や成人式、結婚式など人生の節目節目の記念写真を撮影し続けた。戦地での写真も保管し、戦友会の際には元兵士らが写真を見ながら戦死した仲間をしのんだ。
 ドラム缶風呂で兵士がくつろぐ戦地での日常、喉に刀を突き刺して自害する兵士、戦死した兵士の骨が入った白木の箱を持ちながら行進する兵隊を沿道で見送る人々-。現在の写真室には、柳田が庶民の視線で戦時中の現実を切り取った写真が所狭しと並ぶ。毎年8月には「柳田芙美緒の写真を管理保存する会」代表の夕映さんが中心となって収蔵品を整理し、遺作展を開催している。
 県遺族会によると、建物は老朽化が進んで耐震性に問題があるため、近い将来に抜本的な手を打つ必要がある。取り壊しも選択肢として浮上している。
 管理保存する会は今後、柳田が移築を望んだ建物と写真をセットで残すための活動を展開する方針。夕映さんは「移築してまで保存した建物で柳田の写真を保管し、見てもらうことに意義がある。戦争を知らない世代に語り継ぐため、静岡連隊のともしびを消してはならない」と話した。

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