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注染染め用やかん、一手に 誇り持ち伝統担う 浜松・永田さん

(2018/1/23 08:37)
注染染め用のやかんを作る永田良平さん=浜松市東区
注染染め用のやかんを作る永田良平さん=浜松市東区

 浜松市に伝わる染色技術「注染(ちゅうせん)染め」。生地の上に染料を注ぎ、にじみやぼかしを生かした美しい浴衣や手ぬぐいを染め上げる。作業の必需品が、染料を注ぐ専用の「やかん」。静岡県内で唯一、このやかんを製作している同市東区の創作銅細工「銅楽工房」の永田良平さん(82)は「伝統の担い手」と誇りを口にする一方で、技術伝承に頭を悩ませる。
 やかんは注ぎ口の先がとがったじょうろのような道具で、永田さんは容量7・2リットル~0・36リットルまで8種類を手作りしている。材料は薄い亜鉛めっき鋼板やステンレス板。木のハンマーでたたいて注ぎ口や持ち手、容器部分など各部位を成形し、はんだ付けをして組み立てる。
 筒状の注ぎ口の先端は「やかんの命」。下向きに若干曲げ、はさみを使ってとがらせる。「染料が広がらずにまっすぐ、約60度の角度で流れ出る。止めたいときにピタリと止まる」(永田さん)という絶妙な調整だ。やかんを使用している武藤染工(本社・同市中区)の武藤真和社長(42)は「液のキレがとてもいい」と語る。
 永田さんは、やかん作りをしていた父親の影響で、中学生のころから作業を手伝っていた。伝統を守ろうと約30年前、本格的に作業を引き継いだ。だが、かつて市内に40社近くあったという注染染めの業者は減少し続け、今ではわずか6社ほどに。受注量も減少し、17年は計約40個。「これだけでは食べていけない状態」という。
 現在、後継者はいない。「技術を伝えたいが、何度も失敗しながら腕を磨くほど受注量はない」と肩を落とす。武藤社長も「注染染めなどの伝統を守るには道具が必要だが、道具を作る技術も失われつつある」と話す。

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