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スマホ片手に水害避難体験 静岡大鈴木教授らアプリ開発中

(2018/1/28 11:02)
避難訓練アプリの開発を進めている鈴木康之教授(左)と杉本等客員教授=1月上旬、浜松市中区の静岡大浜松キャンパス
避難訓練アプリの開発を進めている鈴木康之教授(左)と杉本等客員教授=1月上旬、浜松市中区の静岡大浜松キャンパス

 静岡大工学部の鈴木康之教授らが事前の予告なしに津波などの水害避難訓練を体験できるスマートフォン(スマホ)用のアプリの開発を進めている。スマホを手に利用者が安全な場所を目指して移動する位置情報アプリだ。鈴木教授は「ゲームアイテムやポケモンを手に入れるために実際に動き回る流行中のスマホ用ゲーム『ポケモンGO(ゴー)』とほぼ同じ原理」と気軽さを強調する。
 アプリの仕組みは、スマホに避難開始の通知が届くと訓練が始まり、所定の時間内に指定された一定の高さ(海抜)以上に到着できれば成功で、できなければ失敗になる。利用者に日常生活で「災害が今起きればどこに逃げるか」という意識付けができるという。
 ポケモンGOは衛星利用測位システム(GPS)を利用して指定された場所に行き、架空の生き物「ポケモン」を画面上で捕まえて集めるゲーム。防災訓練の内容がマンネリ化し、日程も固定化の傾向にある現状の中、世界的なブームになったポケモンGOのように、気軽に老若男女が屋外に出て訓練を体験してもらうことを目指す。
 利用者には性別年代などを事前に入力してもらい、開始場所ごとや個々人の避難データを大量に集めることで、避難経路の設定や津波避難タワーの建設場所、災害に備えた道路や橋などインフラ補強の優先度の決定などに役立てることができるという。
 鈴木教授は元々水道工事会社の社長で、開発のきっかけは「水は本来人が生きるために不可欠なものだが、数年おきに必ず発生してしまう水害をどうにかできないか」と思ったこと。事前に場所や時間が指定された一斉型の避難訓練の効果に疑問を抱いていたことも理由の一つ。鈴木教授は「訓練内容のマンネリ化やメンバーの固定化により、地域によっては防災訓練がイベントになっている現状を打破できる」と指摘する。
 開発は鈴木教授と福岡工大社会環境学部の森山聡之教授、静岡大の杉本等客員教授、京都大防災研究所が共同で手掛ける。アプリの概要や基本プログラムなどは既に完成していて、アプリの仕様の検討や位置情報の誤差を縮める作業に取り組んでいる。配信開始は2019年1月ごろを見込む。

 ■マンネリ化 訓練の課題
 防災訓練のマンネリ化や参加メンバーの固定化は地域の自主防災組織や自治体にとって大きな課題だ。
 県が2016年度に県内の自主防災組織を対象に実施したアンケートでは、15年度の訓練内容について、回答した組織の90%以上が会場型の訓練を実施していて、不測の事態に備えたシナリオのない訓練を行った組織は3%にとどまる。実施日も「防災の日」の9月1日前後や、県の「地域防災の日」である12月第1日曜日ごろに訓練を行う組織が多い。
 また、ほとんどの自主防災組織が町内会(自治会)と同一組織で、自主防災組織の会長の約7割が町内会長(自治会長)を兼務している。

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