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「静岡DMAT」養成に本腰 静岡県が初の講座

(2017/2/12 11:05)
実践訓練で次々運ばれてくる負傷者の情報をボードにまとめ、治療や搬送の優先順位を判断する参加者=1月15日、静岡市葵区の静岡県立総合病院
実践訓練で次々運ばれてくる負傷者の情報をボードにまとめ、治療や搬送の優先順位を判断する参加者=1月15日、静岡市葵区の静岡県立総合病院

 災害発生時に救急治療を行うDMAT(災害派遣医療チーム)の隊員を増やそうと、静岡県は1月中旬に初の養成講座を開催した。想定される南海トラフ巨大地震が発生すれば、被害は本県だけなく広範囲に及び、他県からの応援は限られる。県内の救急医療体制充実は喫緊の課題で、講座に参加した医師や看護師、事務職員らは指揮命令系統の確立と情報伝達の大切さを学んだ。
 災害時の医療対応でまず大切なのは指揮命令系統を明確にし、自らの安全を確保すること。組織的に活動し、治療の優先順位を決めるトリアージを行った上で治療に取り掛かれば、被害の拡大を防ぎ、より多くの患者を救うことができる。
 列車事故で多数の負傷者が発生したことを想定した実践訓練でも、組織的活動の大切さが明らかになった。1回目は役割が明確でなく、リーダーが直接患者を治療したり、全隊員がリーダーを探して指示を仰いだりと混乱があった。
 患者の診療を始めるまでの時間が長くなっても指揮命令系統の確立を優先し、情報集約に重きを置いた2回目は、より多くの患者を病院に搬送できた。参加した県立総合病院(静岡市葵区)の救命救急センター医師吉岡良造さん(33)は「隊員同士の連携と情報統括がポイントだと実感した。情報統括ができれば迅速な搬送につながる」と訓練の手応えを語った。
 DMATの活動は現場活動や病院支援、地域医療搬送など多岐にわたる。確実に適切な情報共有をするため、研修ではトリアージタグの記入方法や、病院の被害情報や患者情報を共有する広域災害救急医療情報システム(EMIS)の使い方なども確認した。焼津市立総合病院の看護師田中彰子さん(48)は「防災への心構えが変わった。情報整理の方法など日々の業務でも心掛けたい」と表情を引き締めた。
 県主催の養成講座は「日本DMAT隊員養成研修」の一部として厚生労働省の認可を受けて実施され、今回の受講者36人は県内での活動に限った資格を得た。このうち15人は1月末に国の追加研修を受け、全国で活動できる隊員として登録された。県主催講座を開く効果を、DMAT隊員は「資格取得の敷居が下がり、県内のチーム数が増える」と歓迎する。
 県は今後も継続的に研修を開く予定で、県立総合病院の大場範行・災害医療センター長は「研修で得た知識を勤める病院にフィードバックしてほしい」と県内の病院の防災力向上も期待する。

 ■阪神大震災後に発足 初期医療体制 遅れきっかけ
 DMATの発足は、阪神大震災で初期医療体制の遅れが問題視されたことがきっかけ。2005年に「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義し、活動をスタートした。
 災害時対応の原則は「CSCA TTT(C=指揮と連携、S=安全、C=情報伝達、A=評価、T=トリアージ、T=治療、T=搬送)」。DMATの基本構成は医師1人、看護師2人、業務調整員1人で、同じ病院に所属する隊員でチームを組む。業務調整員は薬剤師や放射線技師、事務職員らが務め、通信や移動手段、医薬品の確保などを担う。
 DMAT隊員の資格を取得するにはDMAT指定医療機関に所属していることが条件で、県内では全21カ所の災害拠点病院が指定されている。2月1日現在、県内には活動範囲が本県に限られる隊員21人を含め、252人が登録している。

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