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みなし仮設、浸透進まず 最大6万戸必要→2千戸前後 静岡県内

(2018/11/4 07:59)
静岡県の「みなし仮設(借り上げ型応急仮設)住宅等の事前登録制度」の推移
静岡県の「みなし仮設(借り上げ型応急仮設)住宅等の事前登録制度」の推移

 大地震など災害時の仮設住宅に民間賃貸住宅を活用する「みなし仮設(応急借り上げ住宅)」の浸透が静岡県内で進んでいない。南海トラフ巨大地震の被害想定で最大約6万戸のみなし仮設が必要とされる中、県が制度として進めるみなし仮設の事前登録数は2012年以降、2千戸前後で横ばいになっている。周知不足に加え東日本大震災から7年が過ぎ、官民の防災に対する意識の希薄化も一因とみられる。専門家は「被災経験のある自治体から効果的手法を学ぶべき」と指摘する。
 みなし仮設の事前登録制度は09年、県独自の施策として創設された。みなし仮設を発災後迅速に提供することを目的に、協力可能な賃貸住宅や不動産事業者を募集。県は地震・津波対策アクションプログラムの一環として、13年度からの10年間でみなし仮設1万2千戸の登録を目指して活動してきたが、停滞が続いていた。
 県は10月に協力事業者300社の確保を新たな推進目標に掲げ、県宅地建物取引業協会や全日本不動産協会県本部などを通じて改めてPRに力を入れる方針を決めた。県住まいづくり課は「事前登録制度を広める努力が足りなかった部分もある。今後は協力業者の拡大に向けて汗を流したい」としている。
 一方、東日本大震災や熊本地震の際にみなし仮設の提供を支援した全国賃貸住宅経営者協会連合会(東京)の担当者は「不動産会社や家主に対して事前に理解を促す意義はある」と県の制度に理解を示しながらも、みなし仮設の速やかな供給に向けて「被災地の教訓を生かしたマニュアルの整備や訓練などが必要だ」と強調する。
 被災者の生活再建に関する研究などに取り組む常葉大の重川希志依教授は「県内では仮設住宅を用意するような災害が最近はなく、自治体も『被災慣れ』していない。各地で培われたノウハウを生かすべきだ」と提言する。

 ■プレハブ建設用地 市町単位の確保課題
 県は第4次地震被害想定で、南海トラフ巨大地震が発生した場合に県内で自宅が全壊・焼失した被災者に提供する仮設住宅は、プレハブなどの「建設型」と「みなし仮設」の合計で最大約11万3千戸が必要と試算。うち4万6520戸は建設型を予定している。県によると、県全域では建設型約5万7千戸分の用地を確保できる計画だが、市町単位では地域の需要に見合う敷地が調達できないケースもあり、課題の一つとなっている。
 「残念ながら市内では土地を賄えていない」と話すのは浜松市の担当者。同市は1万9896戸分の建設用地が必要とされているが、現在は台帳上で1万2937戸分しか見通せず、約7千戸分不足する。津波の浸水想定地域だったり、災害ごみの置き場と重複したりする建設予定地もあり、被害状況次第でさらに不足する可能性もあるという。
 県は市町と連携して地域で必要な建設用地の確保を進めるとともに、平時から仮設住宅の建設が想定できる民有地を把握し、発災後は速やかに所有者と交渉するための準備の必要性を指摘する。

 <メモ>仮設住宅 災害で自宅に住めなくなった被災者に対して自治体が無償で提供する住宅。災害救助法で入居期間は原則2年間とされている。主に発災後にプレハブや木造でつくる「応急建設住宅」と、既存の民間賃貸物件を供与する「みなし仮設(応急借り上げ住宅)」がある。東日本大震災ではみなし仮設が全体の約6割に達し、熊本地震では7割超を占めた。総務省の2013年住宅・土地統計調査によると、県内の賃貸住宅の空き家数は推計約13万7200戸となっている。

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