大震法の強化拡充要望 「南海トラフ全域に」 見直し作業部会
(2017/7/4 07:52)-
南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応について、報告書のとりまとめに向けた方向性(案)が示された3日の中央防災会議有識者ワーキンググループ(作業部会)。川勝平太知事ら本県関係の委員は、今後の議論の進め方を「現行の大規模地震対策特別措置法(大震法)を強化・拡充する視点で」と要望した。
方向性案は、確度の高い直前予知を前提にした「大震法による現行の防災対応を改める必要がある」とする一方、現在の科学的知見を防災対応に生かす必要性にも言及。川勝知事も「大震法改革は不可欠」との認識を示しながら、「静岡県における大震法制定以降の知見なども活用し、南海トラフ地震の想定地域全域に広げる方向にもっていくべき」と主張した。
作業部会で議論された四つの異常現象のうち、大震法の枠組みで警戒宣言発令の状況に相当する「プレート境界面でのすべりが観測される場合」(ケース4)について、方向性案では「行政機関が警戒態勢をとるなどの対応には活用し得るが、一般住民に避難を促すことまでは難しいとの考え方がある」とされた。
これに対し、川勝知事は「行政対応をとるにしても訓練などをする際には地域全体でやらざるを得ず、行政と民間の区別は難しい。ケース4をないがしろにする形はおかしい」と指摘。岩田孝仁委員(静岡大防災総合センター教授)も同調し、「ケース4は地震の危険性が相対的に高まり、多くの方が『非常に危ない』と思う状況。その時の社会対応をどうするか、現行(の大震法の)制度をどう改良するかという議論をしておくべき」と訴えた。
事務局の内閣府はケース4でどのような情報が出せるかを、次回の作業部会までに下部組織の調査部会で改めて協議してもらう意向を示した。
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