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赤堀さん、古里で墓参り 島田事件再審無罪から30年前に

(2019/1/14 10:09)
再審無罪から30年を前に母らが眠る墓に手を合わせる「島田事件」の赤堀政夫さん=13日午後、島田市祇園町の道円寺
再審無罪から30年を前に母らが眠る墓に手を合わせる「島田事件」の赤堀政夫さん=13日午後、島田市祇園町の道円寺

 1954年3月、島田市で起きた幼女誘拐殺人事件(島田事件)で死刑判決を受けた赤堀政夫さん(89)=名古屋市南区=が13日、再審無罪と釈放から30年がたつのを前に島田市を訪れた。久々に家族の墓に立ち寄り、古里の空気を吸った。約35年間の拘束を強いた警察の誤捜査などへの批判も口にし、「自分の立場に置き換えて考えてほしい」と訴えた。
 支援者の女性2人と約3年ぶりに同市を訪れた赤堀さんは、母と妹が眠る島田市祇園町の道円寺を訪問した。花を供え、十数秒間、目を閉じて合掌。すっきりとした表情で墓を後にした。蓬莱橋では「『箱根八里は馬でも越すが…』と言ってね」と支援者2人に話し掛け、茶屋では、おいしそうに熱いお茶をすすっていた。「家から歩いて毎年来ていた」という大井神社も参拝した。
 JR島田駅前の喫茶店で2人と一服した赤堀さん。「墓の前で何を祈ったのか」と問われ「(えん罪事件に巻き込まれて)迷惑をかけた。心の中で謝りました」と話した。
 一緒に訪れた島谷直子さん(64)によると1人暮らしの赤堀さんは高齢者施設のサポートを受けているが、体は健康。カラオケと五目並べが趣味で、今は心穏やかな日々を送っている。
 ただ、当時の捜査に話が及ぶと表情が一変。身長160センチない体を硬直させ、顔を真っ赤にして怒りをあらわにした。「やってもいないのに、『どこでやったのか』と何度も聞いてくる。この責め苦は拷問よりもひどかった」と振り返った。
 「『やっていない人を犯人扱いしていい』法律なんてない」と声を荒らげ何度も何度もテーブルを叩いた。釈放から約30年が経過しても、見込み違いの捜査や判決で人生や青春を奪った警察や検察、裁判所への怒りは癒えないままだ。
 赤堀さんは今、国から受け取った刑事補償金で死刑廃止のための基金を設立した。再審請求や恩赦出願を経済的に支えたり、死刑囚の絵画作品などを顕彰したりしている。

 <メモ>島田事件 1954年3月10日、島田市内の幼稚園から女児(6)がいなくなり、3日後に大井川対岸の山林内(通称・地獄沢)で発見された事件。殺人や強姦(ごうかん)致傷罪に問われた赤堀政夫さん=当時(25)=が死刑判決を受け、確定したが、30年前の89年1月31日に静岡地裁が再審無罪を言い渡し、釈放した。免田、財田川、松山に続く戦後の「4大死刑えん罪事件」の一つ。

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