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「喜ばせたい!」の巻/子育てコラムあすなろ

(2017/6/14 13:51)

 先日、夕刻実家へと遊びに行くと、玄関にバケツが。口を覆っていた祖父の麦わら帽子を外すと、小さな沢ガニが見えました。娘(3歳、祖父からすればひ孫)は祖母とご飯粒をあげて大喜びでした。
 翌日、母から「おじいちゃんがまたカニを捕まえました。今度は大きく、お母さんガニと名付けています。小さい方が〇〇(娘)だと言っています」とメールが来ました。
 大正生まれの祖父は90歳です。要支援1になった昨年の春以降身体は日々衰え、「よぼよぼ」という表現がぴったりになりました。尿意を感じてからトイレに行くまで間に合わなくなり、母や祖母の愚痴が増えました。退職し、時間に余裕ができた父が農作業について教わりたくても、「もうあまり覚えていないようだ」と嘆きます。それでも元大黒柱のプライドは高く、おむつの誘いを断固拒否して、炎天下の中、小さなくわを手に、一人農作業に励んでいます。娘も「ひいじい」の根性をリスペクトしているようで、愚痴を言う大人たちを叱ることがあります。
 私が小さい頃、当時60代前半だった祖父に「ちょっと来て」と呼ばれたので行くと、素手でヒヨドリを捕まえていたことがありました。両手に挟まれたヒヨドリが逃げようともがくのが恐ろしく、祖父の「喜んでくれるかな」という好意をくんでも背中を一瞬なでるのが精いっぱいでした。
 あの時のヒヨドリは30年を経て、沢ガニになってしまいました。それでも、自宅にいる時でさえ杖をついている祖父がどうやってカニを2匹も捕まえたのか、あの時のヒヨドリ並みの衝撃があります。
 子どもを喜ばせたい祖父の気持ちが一向に色あせないことが、おじいちゃん子の私には救いです。

(のびのび)

子育てコラム「あすなろ」(803) 「喜ばせたい!」の巻

  

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