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「スマイルにまいる妊活中」の巻/子育てコラムあすなろ

(2017/5/14 12:00)

 数か月前、4歳を目前にした一人息子が寝しなに私の首を引き寄せ、「かっか(お母さん)、愛してるよ」とささやきました。驚いて、聞き返そうとしたときにはもう寝息を立てていました。「好き」はともかく、「愛している」と言われたのは初めてでした。私がその日、流産したばかりだったので、余計に心にしみました。

  妊娠初期の自然流産は何度か経験しています。毎回落胆するし、体調も崩れるので暗い気持ちになります。ただ、同じ妊活でも一人目がいるかいないかで、だいぶ気の持ちようが違います。一人いるからと思えば気が楽ですし、何より、子供の笑顔に涙も乾きます。さらに今回は、病院の対応が温かく感じられたのが救いでした。
 息子を授かる前、初めて流産した時は、病院の対応が最悪でした。担当の女医は、医療的な説明もそこそこに「私もう、今月でこの病院辞めるんですよね。だから忙しいんですよ」。心のケアまで期待することはできないと承知しつつも、流産とのダブルショックでくらっときました。もう少し、患者の気持ちに寄り添ってくれるスタッフだったら、辛さが緩和されたと思います。

 第二子妊活でうつうつとせずにいられるのは、友人ママと体験を打ち明け合えるからでもあります。「初めての時は泣きまくった」「家族の慰めに、逆にいらだった」「小さな血の塊を庭に埋めてお墓を作った」。流産がそれほど珍しいことではないと知っていても、聞いてみればみな、同じような思いをしていたことに驚きました。
 そういう話ができるようになったのは、お互い母親になってから。子供に恵まれないうちは生々しすぎる話題のように思い、親友であっても話しにくかったです。今思えば、今よりつらかった第一子妊活の時こそ、体験を共有して励まし合えばよかったのかもしれません。
 
 最近は妊活体験を公表する人が増えてきました。女優の加藤貴子さんは、「自分も周囲も心が軽くなれば」と不妊治療の様子をブログで伝えてきました。バンド、マキシマムザホルモンのナヲさんは妊活でライブを休業しました。静岡新聞の記事では、8回の流産を経験した不育症の女性が、当事者同士ネットワークをつくったと紹介していました。晩婚化晩産化にともなって不妊治療や流産に直面する女性は増えるでしょう。悲しみを一人で抱え込まないよう、心の支えになる場が増えたらいいなと思います。

 くだんの息子の発言、後日聞いたら、きょとんとして「愛してるって何? どういう意味?」と聞き返されてしまいました。私の聞き間違いだったのか、今でも不思議です。

(たこ八)

子育てコラム「あすなろ」(801) 「スマイルにまいる妊活中」の巻

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