「他人の子を叱れますか?」の巻/子育てコラムあすなろ

 私の実家はいわゆる「田舎」で、子どもが少ないです。幼い頃は、同学年の遊び相手は何人もいましたが、今では娘(3)を連れて帰った時、遊び相手は近くに住む5歳の女の子しかいません。
 学年でいうと、2学年上です。娘はその子が大好きで、一緒に遊びたがります。でも、はたから見ると、深い水路を飛び越えるよう誘ったり、ミカンの消毒を入れる、大人が何人か入れる深さの円形のケースを一緒にのぞいたりと、娘に危険を感じることが多いです。私か母が監視役で付き添っていなければなりません。
 で、“ダメダメ”言われた女の子はちょっと悔しいのです。娘と一緒に砂利を投げ付けてきたり、「あかんべー」をしようと娘に誘ったり。かわいらしいけれどイラっとする、大人げない大人です、私は。
 昨年遊び始めた頃は、全部我慢していました。黙って実家に上がってきて、気付くと背後にいるとか、冷蔵庫を勝手に開けて菓子を食べるとか、昼に娘を風呂に入れていると、普段、人けのない窓の向こうで砂利を踏む音が聞こえるとか、いろいろありました。田舎の子だってそんなことしないぞと「先輩」として思っていました。
 5歳児の母親は遊びに同行しないのが私の実家の方では普通です。しかしうちの娘はまだ一人で送り出す年齢ではないため、家に迎えるしかなく、ホスト役はつらかったです。
 しばらくして私は我慢の限界に達し、ある時から、その子には一人の人として付き合うことにしました。それでずいぶん楽になりました。今では砂利を投げられたら、その子のミカンを取り上げて半分食べてしまう程度の反撃はするようになりました。
 親の学びはいろいろとありますが、子どもの友達との距離感が、私の中では今のところ最大の試練です。お母さんたちに、上のシチュエーションでどこまで許すのか聞いてみたいです。
 いろいろ書きましたが、その子が身近にやりたいことを見つけて追究する姿勢には生きる強さを感じ、私も家族もその子が好きです。保育園で日中管理されている娘にとっても、ダイナミックな遊びに学ぶことが大きいと思います。2人を上手に叱って、私も一緒に成長できているといいなと思います。
 でも率直なところ、実家に帰った時くらい、ゆっくりしたい日もあります。娘が5歳だったら、2人を外に放り出して、テレビでも見られるのになぁ・・・と夢のようなことを思う日々です。

(のびのび)

子育てコラム「あすなろ」(793) 「他人の子を叱れますか?」の巻

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