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人工皮膚、グンゼと共同開発 浜松労災病院が治療開始

(2018/8/28 07:56)
開発した人工皮膚を手に取る鈴木茂彦院長=7月下旬、浜松市中区の浜松労災病院
開発した人工皮膚を手に取る鈴木茂彦院長=7月下旬、浜松市中区の浜松労災病院
新たに開発した人工皮膚の効果のメガニズム
新たに開発した人工皮膚の効果のメガニズム

 浜松労災病院(浜松市中区)の鈴木茂彦院長=京都大名誉教授=らの研究グループと肌着大手のグンゼが、血管の形成を促して皮膚を早期、効果的に修復する新しい人工皮膚を開発した。これまで人工皮膚での治療が困難だった糖尿病性皮膚潰瘍などにも治療効果が期待される。国の製造承認を受けて来年1月から本格的に全国販売する予定で、同院では先行して7月から、新しい人工皮膚を使った治療を始めた。
 鈴木院長によると、新たな人工皮膚はコラーゲンのスポンジをシリコーンのフィルムで覆った従来の人工皮膚にゼラチンを混ぜ、皮膚の血管の再生を促すタンパク質「塩基性線維芽細胞増殖因子」を蓄える機能を持たせた。使用前に同因子の溶液を噴霧または注入した人工皮膚を患部に貼ると、同因子が1週間ほどかけてゆっくり患部に作用し、血流を活発化させて皮膚修復を促進する。
 従来の人工皮膚は感染に弱く、血行が悪い患部では皮膚が再生しにくかった。そのため、血流が悪いことが原因で起こる糖尿病性皮膚潰瘍などには使いにくかった。開発した人工皮膚によって、やけどやけがなどによる皮膚の欠損も従来より2倍ほど治りが早くなるという。
 研究グループは2010~11年、30~80代の糖尿病性足潰瘍の患者17人に医師主導の治験を行い、16人に早期の修復効果がみられた。
 近年、高齢化などを背景に糖尿病性皮膚潰瘍の患者は増えている。鈴木院長は「治療が困難だった患者が最終的に足を切断することなく、処置できるようになる」と語り、海外製が多い医療材料を国産化できたことの意義も強調した。

 ■患者年間2万人 糖尿病性潰瘍
 新たに開発した人工皮膚は、従来の人工皮膚などを使った治療が困難だった糖尿病性皮膚潰瘍に高い効果が得られる。厚生労働省が2017年に報告した調査によると、国内の糖尿病患者は16年に推計1千万人に上った。福岡県で08~10年に実施された大規模疫学調査から、糖尿病患者のうち日本人の皮膚潰瘍の発症率は年間0・2%、足の切断に至るのは0・05%程度と示され、糖尿病性皮膚潰瘍の患者は概算で年間2万人に上る。
 従来の人工皮膚でも治療が可能だった熱傷や外傷による皮膚欠損創、皮膚腫瘍、母斑、傷痕のひきつれなどについても、新製品によって治療期間が2倍ほど早まる。鈴木院長によると、従来の人工皮膚治療が可能な患者は、現在5万~6万人程度いるとみられる。

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