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患者と職員、写真で心通う 浜松の病院で「ホスピタルアート」

(2018/1/6 08:26)
院内の壁に展示された職員らの写真
院内の壁に展示された職員らの写真
患者からは見えない場所で働く職員の姿を撮影する写真家の青木遥香さん(右から2人目)と学生ら(2017年7月下旬)=浜松市東区の浜松労災病院
患者からは見えない場所で働く職員の姿を撮影する写真家の青木遥香さん(右から2人目)と学生ら(2017年7月下旬)=浜松市東区の浜松労災病院

 静岡文化芸術大(浜松市中区)の学生団体「ホスピタルアートプロジェクトしずおか」が浜松労災病院(東区)と共同で、院内にアートを導入する「ホスピタルアート」を展開している。現在院内を彩っているアートは、病院を支える職員の姿を捉えた数々の写真。患者と職員の距離を近づけている。
 写真には診察室裏の通路や事務室で働く事務員、検査技師、清掃員の笑みがはじけ、院長室で執務にあたる有井滋樹病院長の姿も。院内写真展のテーマは「新たな『出合い』を探しに」。病院内部を撮影した計80点を院内各所に15日まで展示している。
 同大出身の若手写真家青木遥香さんが、病院と協議の上、院内各所を見学した上で撮影に臨んだ。約1400点の中から職員と学生が80点を厳選し、職員が練った説明文を学生が手書きで仕上げて温かみを出した。
 独特の淡い色彩で仲間の笑顔を捉えた青木さんの作品に、鈴木恵美子看護部長は「素敵な写真に職員も和んでいる。病院では見えない所で多くの職員が支えている。職員の温かな人柄を感じてもらえる」と病院への理解が進むことに期待する。
 無機質な医療施設に美術を導入するホスピタルアートの継続的な取り組みは県内ではまだ少ない。同病院では有井院長の呼び掛けで2015年に始まり、患者へのサービス向上・広報に位置付けた。学生はこれまでに図書スペースの改装やオブジェの展示を手掛けた。写真展は患者に分かりやすい表現として学生が提案した。
 同団体代表で芸術文化学科3年の宮田稜嗣さん(21)=静岡市葵区=は「活動を通じて多くの職員と顔見知りになれた」と喜び、「患者が一瞬でも病気を忘れる時間ができ、職員との会話のきっかけになれば」と意義を語る。今後、撮りためた写真の活用や患者参加型の展示も検討する。

 ■病院側意欲、普及の鍵
 医療施設内にアートを取り入れるホスピタルアートは、主に大都市のNPOと病院の連携が多く、地方都市での実施例はまだ限られている。
 静岡文化芸術大(浜松市中区)の高島知佐子准教授(アートマネジメント)らが2015年にメディアやホームページの掲載事例を集めた調査では、41医療機関で計68件。国立大付属病院のほか、小児科や精神科を持つ病院で患者の気分を和らげる目的での実施例が多い。ただ、絵画展や演奏会など単発にとどまる傾向が見られ、継続に課題もある。
 高島教授は「病院を普通の空間にすることは職員にも良い影響がある。病院側管理者の意欲で大きく広まる可能性がある」と県内での普及に期待する。

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