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若年性認知症、社会とつなぐ 症状向き合い「働く場」を

(2017/11/20 08:08)
施設職員にパンを販売する若年性認知症の患者(手前)=10日、浜松市浜北区の浜北愛光園
施設職員にパンを販売する若年性認知症の患者(手前)=10日、浜松市浜北区の浜北愛光園

 65歳未満で発症する若年性認知症の患者に働く場と社会とのつながりの機会を提供するため、静岡県は2017年度、支援事業に乗り出した。県内3団体に事業を委託し、周知に努めている。試行的な取り組みで、現場もまだ手探りの状態。10月末現在で計5人が利用している。県内の患者は推計千人。県長寿政策課の担当者は「若年性認知症の方の居場所づくりも重要テーマ。取り組みを各地域に普及させ、よりよい支援につなげたい」と話す。
 聖隷福祉事業団は浜松市浜北区で運営する介護老人福祉施設「浜北愛光園」で週1回、職員へのパン販売の手伝いや地域の住宅の庭園整備などの派遣作業を盛り込んだ支援事業を始めた。利用者はこれまでに3人。若年性のアルツハイマー病の主婦は「家で用事の仕方を忘れてしまった際、家族に注意されるのが怖い。仕事に参加して、たくさんの仲間と話すと心が安らぐ」と漏らす。
 吉岡誠仁園長(45)は「支援事業に参加しても患者に劇的な変化があるわけではない。本人や家族などに若年性認知症を『受容』してもらい、向き合い方を考えてもらうことが大切」と訴える。
 静岡市清水区のNPO法人WAC清水さわやかサービスは、近隣事業所の車の洗車などを仕事に取り入れ、2人が利用している。
 浜松市中区の地域創生支援事業団は9月、認知症の一歩手前である軽度認知障害の患者のために竹炭を作る仕事場「竹炭庵 富塚」を設置したが、対象の利用者はまだいない。志村孚城理事長(76)は「自立した生活を長く送るためにも軽度認知障害の段階で関わることは重要。医学知識を持った職員の支援もあるので安心できる」と利用を呼び掛ける。
 若年性認知症に関する取り組みの強化は、政府が2015年に策定した「認知症施策推進総合戦略」に盛り込まれている。県は18年度も支援事業を継続する計画で、担当者は「課題を洗い出し、ノウハウを各地域に還元していきたい」と話す。

 ■「周囲の理解必要」
 若年性認知症は国の調査によると、平均発症年齢は51・3歳。県の2015年の調査で把握した県内の患者数は少なくとも444人で、発症段階で仕事をしていた人の約9割が退職した。高齢者に多いアルツハイマー病と、脳卒中が原因で起こる血管性認知症の割合が高いのが特徴。40歳以上は介護保険を利用できるが、デイサービスは主に高齢者向けで使いづらいとの課題も。県は16年7月に専用の相談窓口を開設し、今年10月までに160件以上の相談が寄せられている。
 認知症は高齢者がかかるとのイメージが強く、症状があってもうつ病などと間違いやすく、治療が遅れがちになると専門家が指摘している。県の担当者は「支援のためには周囲の理解が何よりも必要」と話す。

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