静岡新聞NEWS

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • mixiチェック

終章 思い広げる(5・完) 生きる幸せ、講演で訴え

(2018/6/30 15:37)
体験を基に人生の素晴らしさを語る“てんかん講師”の中村真二さん。「生きづらさを抱えるのは誰も同じ」と相互理解の大切さを訴える=5月下旬、静岡市葵区
体験を基に人生の素晴らしさを語る“てんかん講師”の中村真二さん。「生きづらさを抱えるのは誰も同じ」と相互理解の大切さを訴える=5月下旬、静岡市葵区

 親友からの一言で目が覚めた。てんかんを打ち明けた9年前の会話が忘れられない。「それって、すごい個性じゃん。おまえがうらやましい」。最初は意味が分からなかった。頭の中で言葉がぐるぐると駆け巡り、やがて一つの結論にたどり着いた。浜松市西区和地町の中村真二さん(29)は今、市内の中学生を中心にその体験を語り聞かせている。「君たちの中に『自分は不幸』と思っている人がいたら、それは違う。心の持ちようなんだ」。自称“てんかん講師”。それが肩書だ。
 高校2年の時、九州への修学旅行中に発作が起きた。就寝していた2段ベッドの上から真っ逆さまに落下し、危うく命を失いかけた。病名はてんかんの一種、若年性ミオクロニー。以来、たびたび襲う発作に、心がやさぐれた。生徒会長を務めたほど明るく、人気者だった面影は消えうせていた。当時を物語る写真がある。茶髪にサングラスをかけ、上目遣いにカメラをにらんでいた。
 「俺ほど不幸な人間はいない。あいつは同情してくれるはず」。中学時代の親友に連絡を取ったのは、高卒後に芸人を目指して一時上京していた20歳の頃だった。期待は見事に外れた。県外の芸術系大学に進学していた親友も、個性派ぞろいの他の学生に圧倒され、埋没感にさいなまれていた。てんかんを「個性」と語った親友にも、うらやましがる事情があった。「甘ったれるな」。独りよがりを諭された気がした。

無知の知の記事一覧

ニュースアクセスランキング

  • 読み込み中です・・・
静岡新聞データベース

SBSテレビチャンネル

YouTube
こどもみらいプロジェクト「おやこアットエス」
静岡新聞SBSスクープ投稿
静岡新聞モバイルサイト