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第4章 家族とともに(5・完) 変わらぬ父 背中で応援

(2018/5/26 13:04)
公園で語り合う有村日出岳さん(右)と憲人さんの父子。持病のために夢を失った息子の再起を、父は厳しくも温かい目で見守る=6日、鹿児島市内
公園で語り合う有村日出岳さん(右)と憲人さんの父子。持病のために夢を失った息子の再起を、父は厳しくも温かい目で見守る=6日、鹿児島市内

 「早う、家に彼女を連れて来んか」「嫌だよ。部屋散らかってるし」。錦江湾を間近に臨む鹿児島市の公園。親子は芝生に座り込んで他愛ない会話を楽しんでいた。ふいに父親が真顔になった。「てんかんだからって、何も恥じることはなか。堂々と生きたらよか」。息子も応じた。「分かってるよ」。同市の有村日出岳さん(48)と長男の憲人さん(20)の間を流れる空気は、南国の風のようにどこまでも暖かかった。
 「自慢の息子」。有村さんはそう語る。小6から始めたバスケットボール。高校は両親の元を離れ、全国制覇の経験もある他県の強豪校に特待生としてスカウトされた。「ひょっとしたら、憧れのプロ選手になれるかも」。そんな少年の夢を打ち砕いたのは高2の秋、突然襲ったてんかん発作だった。
 その日、練習試合を終えて寄宿舎に戻った玄関先で意識を失った。それからも3カ月おきに倒れた。有村さんは何が起きているのか全く分からなかったが、入院させてようやく事態が飲み込めた。「脳内の血管に普通より太い部分がある。それが神経を圧迫しててんかん発作を引き起こしているようだ」。医師はそう告げた。
 憲人さんはつかみかけた夢が手からこぼれ落ちたような気がした。「バスケを続けたら、死ぬんじゃないか」。怖くて練習に集中できなくなり、活躍の場も、生きる目標すら見失った。

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