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第2章 働きたい(5・完) 偏見と排除、雇用で打破

(2018/3/24 13:04)
同僚と会話する望月洋希さん(奥)=13日、静岡市清水区の日本軽金属グループ技術センター
同僚と会話する望月洋希さん(奥)=13日、静岡市清水区の日本軽金属グループ技術センター

 日本軽金属グループ技術センター(静岡市清水区)の一室。デスクが整然と並ぶ部屋の一角で、望月洋希さん(29)=同区=が同僚と楽しそうに話していた。部屋の中にはパソコンに向かって仕事を進める社員らが10人ほど。誰も気にしていないし、忘れてしまってすらいる。望月さんがてんかん患者であることなど-。
 2011年度、同センターは障害者の積極雇用に乗り出した。徐々に引き上げられる法定雇用率。「このままでは納付金も徴収されかねない」。障害者雇用を担当する大島章嗣勤労課長(53)は当時、そんな焦りを抱えていた。望月さんと出会ったのは、採用を強化し始めた矢先のことだった。
 望月さんのてんかんのタイプは全般発作。疲労などが原因で突然意識を失い、数分ほど全身がけいれんする。とはいえ、発作が起きたのは高校と大学時代に計3回だけ。薬で発作は抑えられるため、生活に支障はない。仕事も普通にこなせる。
 この年は栃木県でてんかん患者が運転するクレーン車が児童の列に突っ込み、6人が死亡する事故が起きた。患者に向けられる社会の視線は、明らかに厳しくなっていた。
 「見方を変えれば、いい人材を採用するチャンス」。大島課長はこう考えた。有用な人材が偏見で社会から追い出されてしまっているはず。面接で対話を重ね、病気と真剣に向き合っている望月さんと一緒に働きたいと思うようになった。
 任せたのは、環境に配慮した企業活動を促進する環境マネジメントシステムの運用。黙々とパソコンに向かう時もあれば、周囲とコミュニケーションを取りながら仕事をする時もある。「障害があっても、私たちと何も変わらない」。同僚たちはすんなりと望月さんを受け入れた。

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