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第2章 働きたい(4) 商売の道、経験糧に開く

(2018/3/24 13:03)
従業員と談笑する鈴木秀幸さん=1日、湖西市
従業員と談笑する鈴木秀幸さん=1日、湖西市

 湖西市の和服のネット販売会社「都泉」。配送する商品が積み上げられた事務所で、社長の鈴木秀幸さん(54)がパート従業員の男性に笑顔で話しかけた。「今日帰ったら何食べる?」「パンですかね、あんこ好きなんで」
 穏やかな空気が流れていた。精神障害を抱えていたり、子育てのために働ける時間に制約があったりと、従業員の立場や事情はそれぞれ。「自分の経験があるから、気持ちが分かるんですよ」。鈴木さんはそう言って目を細めた。
 幼い頃の事故をきっかけにてんかんを発症した。高校までに、泡を吹いて倒れる発作がたびたび起き、周囲から「無意識」とからかわれた。ただ、「優しく接してくれる人もいた」。てんかんを抱えていても人に負けたくない。周囲から受けた優しさを他の人に返していきたい。そんな気持ちが根付いていった。
 家業は呉服屋。「こんにちは」「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」は自然と口に出る。迷うことなく商売人の道に進んだ。就職試験を10社受け、全てから内定をもらった。その中から、基本給が高い大手呉服店を選んだ。入社前から時間があれば会社を訪ね、早くなじむ努力をした。
 会社には初め、てんかんであることを伝えなかった。薬で発作が抑えられていて「頑張れば病気は関係ない」と思っていたからだ。一方で、親しくなった客には会話の流れで持病を伝えることもあった。心配してくれる人がほとんどで、「自分の親戚にもてんかんの子がいる」と逆に相談を受けることも。“弱点”をさらけ出すことで関係はより密になった。売り上げは伸び、毎年のように昇格。給料は常に同期でトップだった。

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