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第2章 働きたい(1) 職転々、苦悩の末に好機

(2018/3/24 13:00)
これまで取得した数々の免許を手に、退職に追い込まれた過去を振り返る男性。てんかん患者への職場の風当たりは冷たかった=5日、富士宮市内
これまで取得した数々の免許を手に、退職に追い込まれた過去を振り返る男性。てんかん患者への職場の風当たりは冷たかった=5日、富士宮市内

 人が自立した生活を送る上で不可欠な「就労」。近年は障害者雇用促進法が整備されるなど、障害者全般に対する社会的な理解が深まっているものの、てんかん患者への“冷遇”は依然として根深いという。ただ一方で、企業などでは患者を温かく迎え入れる動きも徐々に出始めている。誰もが生き生きと働ける社会が実現するのは、いつの日か。

 ◇--◇--◇

 テーブルを挟んで向かい合った青年は、健康そうに見えた。だが、その口から語られたのは、てんかん患者に冷たい社会の現実だった。「普段は薬さえ飲めば、健康な人と変わらない。でも、僕はてんかん患者というだけで、仕事を辞めざるを得なくなった」。吐き出すように富士宮市の会社員男性(30)は話し始めた。
 2016年当時、男性は製紙関連会社の派遣社員として勤務していた。クレーン操作などいくつもの免許を持ち、働きぶりも熱心と評価されて近々、正社員に採用されるはずだった。
 同年11月、順風満帆に見えた男性の未来は暗転した。職場で弁当を食べていた昼休み、全身が突然激しいけいれんに襲われ、口から泡を吹いて倒れた。気付いた時には病院のベッドの上。過去に同様の発作は2回あったから、自分の身に何が起きたかすぐに悟った。「またか…」。ぼんやりと病室の天井を眺めた。
 1週間後、職場復帰した男性に向けられた周囲の目は一変していた。会社にはてんかんの持病を正直に伝えてあった。なのに、空気が妙によそよそしい。仕事をしようとしても「いいから」と取り上げられた。厄介者扱いされていると察した。「君にやってもらう仕事が見つからなくて」と人事担当者。表情は申し訳なさそうだが、内心は違うと分かった。「つまり、辞めろってことでしょ。発作が理由ですか」。そう詰め寄ったが、人事担当者は首を横に振り続けた。「ずるい」。男性は一言だけ抗議して会社を去った。

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