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第1章 車社会とのはざまで(4) 持病申告、悲劇防ぐため

(2018/2/12 14:03)
大芽君の写真を見つめる伊原高弘さん。「大芽は、将来苦しむ人を救いたい、と話していた」=2017年10月、栃木県鹿沼市
大芽君の写真を見つめる伊原高弘さん。「大芽は、将来苦しむ人を救いたい、と話していた」=2017年10月、栃木県鹿沼市

 「きちんと病気と向き合って治療している人とそうでない人を区別する必要があると思いました」。2011年4月に栃木県鹿沼市で起きたクレーン車の暴走事故で長男大芽君=当時(9)=を亡くした伊原高弘さん(46)は静かに、だがはっきりした口調で語った。
 出勤途中に大芽君が事故に遭ったことを知り、がれきが散乱する現場に駆けつけた。警察官に中に入ることを止められ、見つめた先に黒い髪の毛が見えた。「大芽なのか」。警察署で息子と対面できたのは昼すぎ。「あの時飛び込んで行って抱きしめてあげれば良かった。独りで逝かせてしまった」。息子の写真を見るたびに怒りと同時に後悔がこみ上げる。
 運転手は持病のてんかんを隠して運転免許を取得し、運転中に発作を起こした。同様の事故歴があることも分かった。起訴罪名は自動車運転過失致死。「持病を隠して運転することは危険なことではないのか」。故意犯である危険運転致死罪の適用が見送られたことに疑念を抱いた。持病の自己申告に基づく免許制度などに限界があるとして、この事故で同様にわが子を失った遺族と連携、中心になって、法改正のために署名活動に動いた。
 活動をするに当たって、患者らの団体と協議した。持病を隠して運転しているのは「一部の患者」であると強調した上で法改正を訴えたつもりだったにもかかわらず、厳しい言葉を浴びせられた。「スティグマ(社会的烙印=らくいん=)を生むことになる」「自分がてんかんになったらどうする」

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