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序章 治療の現場で(4) 父母、苦悩の末に

(2018/1/13 14:03)
池田浩子医師(右)の質問に答える望月勇矢君(左)。母秀美さん(中央)が優しく見つめる=2017年12月上旬、静岡市葵区の国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター
池田浩子医師(右)の質問に答える望月勇矢君(左)。母秀美さん(中央)が優しく見つめる=2017年12月上旬、静岡市葵区の国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター

 にこにこ顔の少年が、外来診察室に入ってきた。望月勇矢君(9)=静岡市清水区=。椅子に腰掛けた勇矢君は、池田浩子医師(49)の質問に答えた。「寒くなったけど、風邪はひいてない?」「ひいてないよ」「冬休みはいつから?」「えーっと…、23日」-。息子の姿を、母、秀美さん(43)は頼もしそうに見つめた。
 勇矢君は難治てんかんの「ドラべ症候群」で、国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター(静岡市葵区)で治療を受けている。発症は生後4カ月の時。風呂上がりに秀美さんが体を拭いてあげていると、大きく伸びをしてがくんがくんとゆっくりした全身けいれんが始まった。すぐに市内の病院に救急搬送されたが、けいれんは1時間半も続いた。脳波をとるための電極や点滴などさまざまな管につながれた、痛々しい息子。「ごめんね、ごめんね」。秀美さんは泣きながら自分を責めた。
 その後も30分以上続くけいれんが頻発した。いつ発作が起きるか分からないため、2人で過ごす日中は怖くて買い物も散歩も行けなくなった。発作は発熱によって誘発されると知ると、風邪をひかせてはいけないと神経をとがらせた。
 薬の効果で、勇矢君は3歳までに熱が高くなった時だけ発作が出るような状態に落ち着いた。だが、秀美さんにはまだ不安があった。保育施設の問題。仕事を始めるため、近くの施設に預けようと考えたが、同じ境遇にある保護者から、入園を断られたと聞いていた。
 諦め半分で申し込んだ保育施設の反応は意外だった。主治医の話を聞きたいという施設職員とともに池田医師を訪ねた。その後職員が発した一言は、今も忘れられない。「誠心誠意見守ります」。施設から連絡があるかもしれないと携帯電話を握りしめた3年間、発作は1回もなかった。

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