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戦争遺品は今(4)公設資料館、設置まだ

(2018/8/16 11:04)
静岡平和資料館をつくる会が市からの補助を受け民間ビル2階に開設している「静岡平和資料センター」=13日、静岡市葵区
静岡平和資料館をつくる会が市からの補助を受け民間ビル2階に開設している「静岡平和資料センター」=13日、静岡市葵区

 静岡市の補助金を受けて活動する市民グループ「静岡平和資料館をつくる会」(会員約230人)が今年で活動開始から30年の節目を迎えた。戦争遺品の保護のため、同市に対して公設の資料館の設置を長年求めているが、道筋は見えないまま。会員の高齢化も課題として浮上している。
 「借りているスペースでは遺品を収納しきれない。市立図書館の収蔵庫に一部は保管してもらっている」。同会の土居和江事務局長はこう打ち明けた。1988年の活動開始以来、静岡空襲に関連する遺品など約5700点の寄贈があった。96年以降、活動拠点の静岡平和資料センター(名称は現在)の家賃相当額について、静岡市から補助金を受けて活動を続けてきた。
 市は戦争遺品の受け入れ窓口を持たない。同会が事実上の窓口となっている。ただ、保管スペースの問題もあり、最近は由来が不明瞭な遺品の受け取りは断っている。
 同会が市に提出した活動報告によると、2017年度は小学校などに対する戦争遺品の貸し出しは13回、365点あった。年1回の展示替えも欠かさず行っていて、団体見学者も3060人と最近10年間では08年度の3229人に次ぐ多さだった。
 市の担当者は「これまで補助金削減などの話は出たことがない。今後も続ける」と話す。ただ、会の中心メンバーは60~80代となり、高齢化は深刻だ。ある会員は「今後の活動は先細りになる可能性もある。早く公設平和資料館の設立に道筋を付けてほしい」と不安も吐露する。
 一方、同じ県内の政令市でも浜松市のアプローチは異なる。同市は1988年、3億3500万円を投じ、鉄筋コンクリート造り2階建ての「浜松復興記念館」を開設した。同記念館条例には「戦災復興に関する資料を収集し、保管すること」と目的が定められる。館内では語り部活動なども活発だ。
 同館の関係者は静岡市のスタンスに疑問を示し、「単年度ごとの補助金だけではなく、市民グループともっとちゃんと向き合うべき。戦争遺品の保管スペース確保など活動のさらなる支援のため、役所の一室を提供することなど容易なのでは」と首をかしげる。
 仏教大の原田敬一教授(日本近代史)は「戦争遺品は公設資料館が保管するのが最善だが、社会の戦争遺品に対するスタンスははっきり定まっていない面がある。国から目立った予算措置もない中、自治体ごとの政策がちぐはぐな面があるのは、こうした背景もある」と指摘した。

 <メモ>「静岡平和資料館をつくる会」が目指す公設資料館設置は、静清合併前の旧静岡市で一時機運が高まったことがある。2002年度、市は「総合歴史博物館構想」を策定し、JR静岡駅南に古代から現代までの歴史を紹介する施設の設置を目指した。しかしその後の合併を経て、清水区にある民間の博物館の機能などを勘案し、構想は頓挫。現在、静岡市は今川・徳川時代に特化した歴史文化施設の設置を計画している。

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