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戦争遺品は今(2)売却希望、絶え間なく

(2018/8/16 11:01)
店頭で販売している寄せ書き日章旗を見詰める前川裕弘さん=8月上旬、東京千代田区の神保町軍装店
店頭で販売している寄せ書き日章旗を見詰める前川裕弘さん=8月上旬、東京千代田区の神保町軍装店

 皇居や靖国神社からほど近く、古書店街としても知られる東京・神保町。細い路地に面したやや薄暗い場所に、プレハブ造り3階建ての旧日本陸海軍軍装品専門店「神保町軍装店」がある。店主の前川裕弘さん(51)は、この業界ではよく知られた存在だ。
 兵士が実際に使用した装備や戦時下の人々の日用品など国内最大の約3万点を扱う。販売は店舗だけ。インターネットでは取り扱っていない。
 遺族の高齢化や代替わりに伴い、ここ数年、前川さんの携帯には戦争遺品の買い取りを希望する電話が、関東一円からひっきりなしにかかってくる。
 今月1日午前も東京都荒川区の男性(76)から、20年ほど前に亡くなった長兄の遺品の買い取りを希望する電話があった。午後に持ち込まれたコート2着を数分の鑑定で3千円で買い取った。男性と一緒に訪れた会社員の長男(34)は「父は『捨てよう』と言ったが、『欲しがっている人がいて、お金にもなるなら』と連れてきた」と話した。
 最近は、高級住宅街のある世田谷区や杉並区に住む高齢者などから、これまではまれだった高級将校の軍服や勲章など貴重な軍装品の買い取りの打診が来る件数も急増しているという。1点を数百万円以上で購入することもあり、最近は私財も投じている。「売る自信があるから買い続けている。ここしばらくが(商売の)勝負どころ」と前川さんは話す。
 神保町軍装店には、海外から同業者がやって来て、大量に買い付けていく。前川さんによると、米国では富裕層の間で旧日本軍の軍服などの人気が高く、国内の2倍の価格で売れる。
 海外の業者が前川さんから購入し、世界最大級のオークションサイト「イーベイ」などで3倍程度の値段で販売することもある。ロシアや中国の富裕層の間でも旧日本軍は人気となっている。
 小学生のころから旧日本軍に関心があった前川さん。大阪で軍装品店を開いていたが、10年ほど前に神保町にも店を出した。「東京でこんなに(貴重な戦争遺品が)出るとは思わなかった」と振り返る。
 業界関係者は「海外での旧日本軍の人気と国内で遺品が多く売りに出される状況が偶然重なった。市場は活況とも言える状況にある」と解説した。

 <メモ>軍装品とは軍服や軍靴、階級章など兵士が実際に身に付ける装備類全てを指す。ネットオークションなどでは新品、中古品を問わない「軍装品」というジャンルが出来上がっている。神保町軍装店には、白人の外国人観光客が突然ふらっと訪れることも多くあるという。前川さんによると、神保町かいわいは戦前・戦中、将校相手の軍装品店が60軒以上あった。戦後はスーツ店に衣替えした店も多いとされる。

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