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再考「添加茶」 施策の死角(5)振興のエンジン

(2018/2/8 11:30)
有識者会議で県が示した「課題と方向性」
有識者会議で県が示した「課題と方向性」

 静岡県が2017年7月に廃止方針を表明した製茶指導取締条例は、表示すれば使用が法律で認められているうま味調味料などの添加も禁止している。目的は「声価維持」だ。
 17年12月26日、新たな静岡茶の振興策検討委員会の第2回会議。
 「ブランドは条例に頼らず、企業努力で守るものではないか」。大坪檀委員長(88)=静岡産業大総合研究所長=が成岡揚蔵県茶商工業協同組合理事長(64)に発言を促した。
 県茶業会議所の会頭職務代理者でもある成岡氏は「60年以上守られてきた条例の良いところは残してほしい。条例は茶業界にとって憲法のような存在」と、廃止ではなく改正を主張した。
 業界による自主規制では非会員や非組合員を縛れない。条例の強制力は民間にとって心強いが、執行する側には負担だ。
 法律で認められているうま味成分の添加を条例で規制していいのか―。アウトサイダーがこう主張して来ることを、歴代担当者は恐れていたという。関係者は明かす。「もし、裁判を起こされたら。その意味で条例は喉に刺さった骨だった」
 条例は立ち入り検査や違反者への罰則を定めている。強制力は両刃(もろは)の剣と言えるが、過去に罰則の適用事例はなく「錆(さ)びた刀」と例える関係者もいる。
 製茶条例の廃止案に端を発した議論は、条例の功罪から茶業全体の振興策に拡大した。現行の県茶業振興基本計画(14~17年度)の次期計画の策定と並行し、静岡茶振興のために条例が有用か否かを見極める段階に達した。
 振興策の推進主体を巡り、官民の役割分担にも焦点が当たっている。県は「条例の存在が業界の行政依存を強める」として、課題に「茶業者、茶業団体の主体性の発揮」を挙げた。
 本県経済をけん引してきた茶業と、それを指導・支援してきた行政の間合いが変わりつつある。
 条例改正による規制緩和を求めた業界に対し、切り捨てるように条例廃止で応じた県の姿勢。業界内外に戸惑いが広がり不信感を生んだ。関係者からは「特殊な茶業界に精通した職員が減り、冷ややかな対応が加速した」との臆測も聞かれる。
 県茶業会議所の小沢俊幸専務理事(62)は「業界が汗をかくのが基本だが、基盤整備や研究開発は県にしかできない振興策」と指摘。推進には官民それぞれの主体性発揮と連携強化を訴える。

 <メモ>県が有識者会議で示した「課題と方向性」に行政の役割を明示した部分は見当たらない。風土に恵まれた本県は多彩な農産品が生産され、県は「食材の王国から食の都づくりへ」と、農業全体の底上げを図る。この流れの中、明治以来、地域経済を支えてきた茶の“待遇”に変化が見られる。近年、本県の農業産出額は上向いているが、トマトやイチゴ、ミカンなどが増加したためで、茶は減少。農業産出額に占める茶の割合は13.5%(2016年)。10年前は23.6%だった。

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