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「争点」の現場(5・完)津波防災対策 変化する住民意識

(2017/10/16 11:00)
田子の浦港の防潮堤整備計画見直しに理解を示す山本信英さん=3日、富士市のふじのくに田子の浦みなと公園
田子の浦港の防潮堤整備計画見直しに理解を示す山本信英さん=3日、富士市のふじのくに田子の浦みなと公園

 駿河湾北縁の富士市沿岸部に住む住民は、台風の高潮被害と闘い続けてきた。田子の浦地区まちづくり協議会の山本信英防災部会長(73)は「子供時分は大きな台風が来る前に、海から離れた親戚の家に避難したっけ」と振り返る。
 長年かけて築いた海抜17メートルの防潮堤に守られてきた市民。東日本大震災で東北を襲った津波から受けた衝撃は強烈だった。南海トラフ巨大地震などを考慮した県第4次地震被害想定で同市の最大津波高は6メートルだが、想定が出る前に急いで建てた幾つかの津波避難タワーは、結果的に浸水域外。笠井洋一郎同市防災危機管理課長(54)は「当時は冷静に考えられなかった面があった」と認める。
 津波に対して備えを固める同市で、唯一の弱点が田子の浦港。最大想定の津波が押し寄せると、港内周辺は浸水深3メートルの被害が出る。同市は港湾を囲む防潮堤整備を検討したが、事業費の試算が160億円に膨らみ、費用対効果の観点から本年度、減災を目指すソフト対策重視の方針へかじを切った。山本部会長は「財政状況が厳しい中、行政任せにはできない。避難訓練を重ね、死者ゼロに取り組みたい」と市の判断に理解を示す。
 漁業や観光など、海と生活の結び付きが強い伊豆半島でも、防潮堤整備計画を見直す動きが広がっている。地域住民の意向を受け、県は100~150年に1回の「レベル1」津波に対応した防潮堤を建設するという統一方針を本年度変更し、避難場所確保や避難路整備などを組み合わせる減災対策を本格的に検討し始めた。
 東日本大震災から6年半がたち、津波に対する住民意識には変化が見られる。人口減少社会が進む中、安全な場所への都市機能集約を目指す国の方針を踏まえ、津波工学が専門の原田賢治静岡大防災総合センター准教授(42)は「津波の危険性を地域内で正しく共有した上で、命を守るため今すぐ取るべき対策と、将来を見据えた地域づくりの議論を、二段構えで進めるべき」と訴える。

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