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「争点」の現場(4)奨学金問題 どう返済、膨らむ不安

(2017/10/15 11:00)
奨学金返済への不安を吐露する静岡市内の大学院生の女性=10月上旬、同市葵区
奨学金返済への不安を吐露する静岡市内の大学院生の女性=10月上旬、同市葵区

 「奨学金には本当に助けられているが、どうやって借りた奨学金を返そうか。そもそも返せるのか」―。北陸地方出身で静岡市内の大学院に通う女性(24)は時折、不安に駆られる。実家は母子家庭で、高校時代から借りた奨学金は800万円を超えた。全国大学生協のアンケートでは、奨学金を借りている大学生らの7割以上が返済に不安を抱いているという。
 大学生の2人に1人が頼っている奨学金。教育無償化が争点となっている衆院選では、多くの党がその政策の一つとして返済不要の給付型奨学金の拡充を訴える。2017年度から成績優秀者らに絞って先行実施された、住民税非課税世帯を対象にした給付型奨学金制度は、18年度から対象者が2万人に広がる。ただ、非課税世帯から高卒後に進学する人は6万人いて、まだまだニーズを満たせないのが現状だ。
 著書「ブラック奨学金」(文春新書)がある一橋大大学院生の今野晴貴さん(34)は「奨学金のニーズの高まりには、親の年収減や国立大学の学費の高騰、非正規雇用の拡大がある」と分析する。毎年8千人の奨学金返済滞納者が訴訟を起こされ、600人以上が自己破産している現状がある。衆院選で給付型奨学金の拡充が議論されていることについて、「いいことだとは思うが、遅きに失している」と批判する。
 聖学院大の柴田武男教授(金融市場論)も奨学金問題には、(1)これから借りる人が返済で困らないようにする制度設計(2)すでに滞納している約17万人の救済―の二つの側面があると解説した上で、「衆院選ではすでに困っている17万人についてはどの党も言及していない」と指摘する。
 現在奨学金を受け、大学進学後も受給予定の県中部の公立高3年の男子生徒(18)は「夢は理系の大学院に進学し、専門職に就くこと。ただ、返済額が膨らむことを考えれば、学部卒で就職すべきか正直迷う」と話す。この生徒はいま、有権者として初めて経験する衆院選で誰に投票すべきか決めあぐねている。

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