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増田守人の歌声生の声(2) 故郷とつながる海辺

(2018/9/7 16:35)

 「湘南にお住まいということは、サーフィンでもされるんですか」と聞かれることがよくある。残念ながら今まで一度もしたことはない。
 3年ほど前、東京の新宿区から神奈川県の湘南のはずれに引っ越した。東京や横浜の劇場への行き来には東海道線を利用している。新橋から1時間、決して近いわけではないが、旅の高揚感に似た感覚もあって電車の往復はちょっとした楽しみでもある。
 東京から下り電車に乗る。だいたい横浜あたりまではビルと住宅が密集した都会の風景が続く。ところが、大船を越えるあたりから確実に空の面積が広くなり、太陽の輝きが一気に増す。その先の藤沢あたりからは時計の針の進み方までが遅くなるような気がする。
 生活にも大きな変化があった。終電ってなんですか? 的な生活からは一変。とにかく、なにがあっても終電には乗り遅れないようにする。けれど、息を切らして電車に乗り込んでも居眠りしたおかげで乗り過ごし、小田原や国府津で目が覚めたという失態も多い。
 自分が海辺の町、焼津で育ったせいなのか、いつかは海の近くに住みたいと思っていた。できれば海が見える所に。
 古くて小さな部屋だけれど、窓からは何にも切りとられない大きな空が広がり、遠く住宅の屋根越しに海が見渡せる。わが家はオーシャンビューです、と威張って言えるほどではないが、それなりに気に入っている。ベランダから晴れた日には伊豆大島の稜線[りょうせん]が、はっきり見える。
 公演を終えて、新橋や横浜駅のホームで下り電車を待つ。その電車が熱海行きとか沼津行きとかだと、なんだかちょっとうれしくなる。東海道線なんだから当たり前のことだけど、この線路がずっと静岡までつながっている。

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