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増田守人の歌声生の声(6) 役との運命の出合い

(2018/9/7 16:42)

 僕たち舞台俳優にとって、その役との出合いは偶然のようでいて、本当は必然なのかもしれない。
 大抵の場合、配役を決定するためにオーディションが設定され、募集される役の歌とせりふ、ダンスなどの課題が発表される。特に海外からの新作物は、かなり大がかりだ。まずは、劇団内での1次審査でふるいにかけられる。その後、海外からクリエーティブスタッフが来日し、2次、3次を経て、そして本選へと進んでいく。
 せりふや歌、踊りを完璧にこなせば審査をパスするか、といえばそうではない。いちばん大事なことは、向こうが求めているキャラクターに合っているかどうか、ということになる。見た目はもちろん、その数分間の限られた時間の中で、その人の可能性、そして、人柄やちょっとしたしぐさに至る隅々までが審査される。
 役をもらい、初めて台本と楽譜を手にする時、表紙の右上に鉛筆で自分の名前が記されているのを目にすると、やはり感慨深いものがある。そして、台本や楽譜を読み込み、それから数カ月の長い稽古を経てやっと舞台に立つことになる。
 今回の「オペラ座の怪人」で、僕が演じているムッシュー・アンドレに初めて出合った時、この役とはきっと長い付き合いになると予感した。本番を重ねるうちに、なぜかアンドレが自分に近づいてきてくれるような感覚になる。僕の俳優生活の中で、かけがえのない役であることは間違いない。
 この作品のカンパニーはなんといっても僕のホームだ。他の演目で他のキャラクターを演じても、またここに帰ってくる。
 役との出合いが偶然であれ必然であれ、こうして10年以上も同じ役と寄り添ってこれたことがなによりうれしい。アンドレとして出演した舞台は、この静岡で1500回目を数えた。

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