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増田守人の歌声生の声(7・完) 傷も汚れも人生の味

(2018/9/7 16:43)

 「断捨離」という言葉がはやって久しい。だがそんな世の中の流れに逆らい、僕の家の中には日々ものが増えている。好きなものに囲まれて暮らしたいんだから仕方ない、と最近では半ば開き直ってみるものの、片付け下手な人間の言い訳にしか聞こえない。基本的には古いものが好きだ。札幌公演の時には、骨とう市で大正時代の食器棚を買ってみんなにあきれられた。僕の部屋は、よその国や違った時代を生きていたものたちがあふれている。
 家の近くの古道具屋でアメリカ製の古いトランクを買った。その上にトランクのサイズに合わせたガラスを置いて、ローテーブル代わりに使っている。送られてきた住所が白いペンキで直接書かれてるし、傷もある。ちょっとした汚れや傷を修復しようかと思ったけど、そんな傷が長い時間を生きた証明のようで、考え直しそのままにした。
 だいたい、世の中には、なくてはならないものはあるけれど、僕らの周りにあるだいたいのものはあっても、なくてもいいものかもしれない。でも、古くて機能的でないもの、そんなものに囲まれての生活がなんだか心地よい。
 僕自身、この歳まで生きてきたということは、いろんな人生のしがらみもあり、大なり小なりの消すことのできない傷も汚れもある。それもまた人生の味なんだと慰めてみる。僕が古いものを好きな理由は、過ぎ去っていった時間を大切にいとおしむ、案外そんなところにあるのかもしれない。
 「オペラ座の怪人」も多くの人々に愛され、日本初演から30年の時を経て、2度目の静岡にやってきた。30年の時が流れても作品は色あせることなく、いまだに輝きを放っている。いよいよ、本日から千秋楽に向けての特別カーテンコールの舞台稽古が始まった。

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