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しずおか駅舎探訪(11)伊豆箱根鉄道・十国峠駅(函南町)

(2017/9/8 11:00)
モーター(手前)やケーブルを巻き上げる滑車とつながれた半円形の機械が、1924年製の減速機。今も現役で稼働する=函南町桑原の十国峠駅
モーター(手前)やケーブルを巻き上げる滑車とつながれた半円形の機械が、1924年製の減速機。今も現役で稼働する=函南町桑原の十国峠駅
伊豆箱根鉄道・十国峠駅(函南町)
伊豆箱根鉄道・十国峠駅(函南町)

 ■謎多き大正生まれの装置
 函南町と熱海市の境にある標高771メートルの十国峠。峠の頂上へは、県内唯一のケーブルカー、伊豆箱根鉄道十国鋼索線が通じている。1956年に開業したわずか300メートルの路線だが、法律上「鉄道」に分類される。
 ケーブルカーは、つるべ落としの要領でケーブルを巻き上げ、両端に接続した車両を上下に動かす。その心臓部は、山上の十国峠駅(同町桑原)の機械室。同線技術支区長の小倉隆弘さん(42)が案内してくれた。
 出発の合図がホームから聞こえると、大きなモーター音が部屋に響き、ケーブルを巻き付ける直径約3メートルの滑車が回り出した。「ここの側面を見てください」。小倉さんが、滑車やモーターとつながったスイス製の減速機を指さした。減速機は動力となるモーターの回転を、ケーブルを巻き上げる力にする重要な装置。見ると、開業よりなぜか32年も前、「1924(年製)」の文字がある。
 実はこの減速機、太平洋戦争中の44年に鉄材供出を目的に休止された兵庫県の妙見鋼索鉄道が使っていた。同鉄道は戦後、能勢電鉄(同県)が引き継ぎ、60年に2路線あったうちの1路線のみを再開。同社のケーブルカーでも十国峠と同じ24年製の減速機が今も動く。
 減速機が十国峠に来た経緯ははっきりしない。小倉さんは「全国のケーブルカーでこの2路線だけが、標準軌(1435ミリ)のレール幅なのが理由の一つでは」と推測する。
 大正生まれの減速機が今も現役なのは、「先輩たちが、丁寧に扱ってきたたまもの」と小倉さん。「故障も特にない。私たちも油を切らさず、大切にメンテナンスしている」。まだまだ元気に活躍してくれそうだ。

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