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<モビール作家>橋本忍さんのアトリエ(森町)

(2018/11/5 11:00)
「ランダムなゆらぎが生む一期一会の美しさがモビールの魅力」と話す橋本忍さん
「ランダムなゆらぎが生む一期一会の美しさがモビールの魅力」と話す橋本忍さん
金づちとペンチ
金づちとペンチ

 木漏れ日がさす古民家の庭先。金色に光る大小の輪が宙をたゆたう。モビール作家の橋本忍さん(38)が薄さ1ミリほどの金属のモチーフに手を伸ばし、出来栄えを確認する。かすかな風の動きに反応し、繊細に揺れる作品の名前は「波紋」。水面[みなも]に落ちた水滴が作る円が、幾重にも広がっていく様子を表現した。
 素材は真ちゅう。板状の素材をハサミで切り出し、一つ一つのモチーフを全体のバランスを見ながら全て手作りする。「コストを考えると効率は悪い」と苦笑いするが、金づちで丹念にたたく手を休めない。渋さや古びた感じを出したい時は、解体現場から入手した鉄製の廃材に打ち付けて表現する。「真ちゅうは時間の経過とともに表情が変わっていく。かっこよさと温かみが共存している」と魅力を語る。
 北海道出身。大学では、工学部で応用電子学を学んだ。将来はエンジニアなどの仕事に就くと漠然と思っていたが、いざ就職という時期になり「現実逃避」。ワーキングホリデーでオーストラリアに渡った。滞在中、雑貨や楽器を作って生計を立てる人々と出会ったことが、自身の生き方を見つめ直すきっかけになった。
 子どもの頃から父親と木工を楽しむなどモノ作りは得意だった。手先の器用さから雑貨を作り、仕事の傍ら販売もして技を磨いた。その後もアジアなどを旅し、帰国後は縁あって浜松市の自動車部品会社に勤務したが、雑貨の仕入れや販売に興味が湧き転職。店で扱っていた多彩なクラフト作品に触発され、本格的にモビール作りを始めた。
 大切にしているのは、空気の動きに呼応するモチーフのランダムなゆらぎ。一瞬の表情や壁に映った時の影など、一期一会の美を追求する。「ある時は近づいたり、またある時は離れたり。重なるようで重ならない。何となく人間そのものみたいだなって」
 時間に追われ、いつも忙しい現代人が、ふと目をやった時に心が落ち着く時間を演出したいと考える。「いつかは美術館や商業施設など、大きな空間を彩る作品を手掛けるのが夢」と将来を見据える。

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