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<菓子職人>竹翁堂(静岡市清水区)

(2018/10/1 11:00)
秋の上生菓子「玉菊」の花びらに動きを付ける竹翁堂の植手元昭さん
秋の上生菓子「玉菊」の花びらに動きを付ける竹翁堂の植手元昭さん
三角べら
三角べら

 淡い桃色が透けて見える白あんの生地を、静岡市清水区の和菓子店、竹翁堂の植手元昭さん(47)が薄く円形に伸ばす。黄身あんを中央に置き素早く丸く整え、表面に細い線を付ける。木のへらを持ち、菓子に押し付ける動きを繰り返すと、手のひらに菊の花が一輪。仕上げに細工ばさみで花びらに動きを出すと、秋風に揺れる野菊が完成した。
 他にも菊の夜露でぬれた綿が若さを保つという故事にちなんだ「着せ綿[わた]」や、ころんとした形が愛らしい「手まり菊」など菊だけで10種類。「菊は桜と並んで日本を代表する花。和菓子には四季に対する日本人の高い美意識が宿っている」
 「ちびまる子ちゃん」が暮らす町として作品に登場する旧清水市入江町で祖父が1947年に創業。3代目の植手さんは、製菓学校に進学後、都内の老舗で修業した。手仕事の繊細さだけでなく、「おいしく炊[た]ければ菓子の半分は成功」といわれるあんこの作り方や手間のかかる仕事に率先して取り組む姿勢など、昔かたぎの職人から基礎をたたき込まれた。27歳で地元に戻り、家業を継ぐ決心を固めた。
 10年前、店の改装を機に使う素材や菓子の意匠もより本物を目指す店にシフトすると、同じ職人の妹智子さん(34)が作る干菓子も評判を呼び、茶席用の茶菓子の注文が増えていった。「春夏秋冬が巡るように人生にも数々の節目がある。喜びの日もあれば悲しいときもある。作りたいのは人の気持ちに寄り添う菓子。思わず顔がほころぶ優しい味を褒められるとうれしい」と話す。

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