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<木工作家>conogu(浜松市天竜区)

(2018/7/2 11:00)
器の表面を仕上げる湯浅ロベルト淳さん。彫り跡が生み出す陰影に特に気を配る
器の表面を仕上げる湯浅ロベルト淳さん。彫り跡が生み出す陰影に特に気を配る
刃物各種と砥石
刃物各種と砥石

 深みのある茶色から淡いベージュまで、作品になるのを待つ木材が置かれた浜松市天竜区の工房。木工作家の湯浅ロベルト淳さん(45)が器用に彫刻刀を動かす。手触りを何度も確かめ仕上げているのは木のスープ皿だ。
 「使い込むほど表情が変わるのが木の魅力。しまい込まずどんどん使って“育てて”ほしい」。器は定番の形ながら、ひと手間加えた意匠が目を引く。持ち手に細い線を彫り、手のひらに触れる面にはうろこ雲状の模様を丹念にのみで刻む。時間をかけた手仕事感が、独特の品の良さをまとわせる。
 デザイン以上に大切にしているのは「道具としての使いやすさ」。大きさ、深さ、手へのなじみの良さ。完成後は必ず自ら使い、何度も修正を加える。木は「耐久性に優れる」米国産の広葉樹。「お客さんに『使いやすかったから今度は贈り物にしたい』と言われると本当にうれしい」。器一つでも人の心を癒やし、暮らしを豊かにすることにやりがいを感じている。
 ブラジル・サンパウロ市生まれの日系2世。子どもの頃は看板屋を営む父の傍らでブリキや木の工作に夢中になった。ものづくりが盛んな日本に憧れ1990年に来日。さまざまな職を経験した後、浜松市内の企業に就職した。製品の設計などに携わり順風満帆だったがリーマン・ショックで一転、自宅待機の末に解雇された。
 「自分は何がしたいんだろう」。人生の転機に頭に浮かんだのが木工の仕事だった。独学で学び、全国の作家が集うクラフト市への出店をこつこつと続けていた。彫り跡が生む陰影が美しいと徐々に口コミで評判が広がり、今では全国約20店が作品を取り扱う。
 作家として歩み出して今年で10年目。「いつかは地元産の木で生活道具も作ってみたい」との思いを秘める。今夏は世界的に著名なレストランに器が採用された。毎日木に向き合っていると、昨日まで不可能だったことが今日急に可能になることがある。「今の自分は10年前には想像すらできなかった。地道に続けることで広がる可能性に、今とてもわくわくしている」と目を輝かせた。

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