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<劇団主宰>白子ノ劇場(藤枝市)

(2018/6/4 11:00)
役者の立ち位置やせりふを確認する山田裕幸さん。公演を前に稽古が熱を帯びる
役者の立ち位置やせりふを確認する山田裕幸さん。公演を前に稽古が熱を帯びる
付箋
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 こぢんまりとした舞台に、テーブルと椅子、キッチンセット。稽古着の役者が目を見開き、せりふの応酬が熱を帯びる。劇団「ユニークポイント」を主宰し演出を担う山田裕幸さん(46)が、ライトが照らす空間の隅々まで視線を走らせる。
 藤枝市の旧東海道に商店が連なる白子[しろこ]名店街。衣料品店の2階にある「白子ノ劇場」は、市民の暮らしの至近距離で、ついのぞきたくなるような非日常感を漂わせる。「公演が決まりました」。入り口に置いたチラシの束に、買い物客が手を伸ばしていく。
 焼津市(旧大井川町)出身の山田さんが、「地域に根差した演劇文化を」と歴史ある商店街に開設。25年にわたって活動した東京から拠点を移し、今年2月にこけら落とし公演を行った。「稽古場と公演会場が限られる中、時間を気にせずに使える場所は演劇人の憧れ」。納得いくまで芝居を追求できる“安心感”も手にした。
 自ら台本を書く劇作家。藤枝に住みながら、東京の学習塾で高校クラスを受け持つ数学講師でもある。「理詰めで展開していくのはどちらも同じ。さまざまな制約の中に隙のない論理の組み立てを考える毎日」。大学時代から台本を書いては消し、30歳を過ぎて演劇雑誌の新人戯曲賞に輝いた。
 学習塾で使わなくなった椅子を調達し、ひな壇状に築いた客席。最前列に掛け、目の前の稽古に没入する。「正解がないから、どう納得するかが難しい」。役者には常に負荷を掛け、幕が上がるまで知恵を絞る。
 東京を離れ、地方で気を吐く仲間は各地にいる。「何でもある環境よりも、隙間がある所で取り組んでこそ、ものづくりは面白い」。今後は縁のある劇団を招待するなど、持続的な活動に力を貸し合うつもりだ。
 公演は普段着姿の地域住民が客席を埋めた。「お客さん同士も久しぶりで、何だか楽しそう。演劇をただ消費するのではなく、集まった人がそれぞれの体験を持ち帰ってほしい」。終演後のロビーに立ち、来場者の熱気を確かめた。

 

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