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<立体造形作家>アトリエサンゴ(静岡市清水区)

(2018/1/29 11:00)
「依頼主が望むクオリティーを超えるものを作りたい」と話す川内ゆうじさん
「依頼主が望むクオリティーを超えるものを作りたい」と話す川内ゆうじさん
パスタマシン
パスタマシン

 父親に肩車された男の子、一面の茶畑で茶摘みを楽しむ家族-。高さ10センチにも満たない粘土人形は今にも動きだしそうだ。立体造形作家の川内ゆうじさん(48)=静岡市清水区=は出来栄えを入念に確認し、いとおしそうに見つめた。
 質感や風合いなど納得がいく粘土を求め、たどり着いたのが樹脂製。時間を要する工程に、乾きにくい米国製を愛用する。針金で形作る骨格から、目、鼻、口、人形の背景まで、細かい手作業の一点物。作り上げた「世界」を自ら撮影し、1枚の「絵」として完成させるまでが仕事だ。
 神戸市の出身。3歳の頃、サンゴ加工職人だった父のそばで、サンゴを削っていたのが「生まれて最初の記憶」という。小学生の時、地元出身の洋画家小磯良平の個展を見に行き、「子ども心に衝撃を受けた」。美術への憧れが芽生え、東京の美大で油絵を学んだ。卒業後は、都内でデザイン会社に就職。学生時代に出会ったパートナーの浜口ゆうりさん(47)の実家がある静岡市に、16年前から暮らす。
 粘土人形との出合いは、浜口さんから頼まれたサンプル制作がきっかけ。全く知識はなかったが、首のかしげ方や姿勢など、動きの付け方一つで印象が変わる面白さに、時間を忘れてのめり込んだ。
 足を止めて見入ってしまう作品が話題となり、日本平動物園や静岡まつり、夜店市など、地元イベントのポスターに起用された。ほのぼのとしたタッチの依頼が多いが、「カワイイと対極にある、おどろおどろしい感じも好き。そんな“遊び”をひそかに取り入れている」といたずらな笑みを浮かべる。
 最近はテレビCMの依頼も舞い込むようになり、粘土人形のコマ撮りアニメーションも手掛ける。1秒に30枚、黒目の向きや口の形、手足の動き一つ一つを絵に起こし、ポーズを付ける。明け方まで作業に没頭することもあるが、「依頼主が望むクオリティーを超えるものを作りたい」と妥協しない。
 命を吹き込む小さな世界が見知らぬ誰かを笑顔にする。その喜びが、創作の原動力になっている。

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