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<パティシエ>キャトルエピス富士店(富士市)

(2017/12/18 11:00)
一人一人のデザート皿に仕上げの一手間を加える藁科雅喜さん(左)
一人一人のデザート皿に仕上げの一手間を加える藁科雅喜さん(左)

 「1品目はあいさつ代わりのボンボンショコラです。一口でどうぞ」。パティシエの藁科雅喜さん(46)に促され、カウンターの客が小さな菓子を口に運んだ。
 ホワイトチョコレートのカップの中に、2種類のかんきつで作ったジュレ。口の中にしゅわっと広がる爽やかな香りと口当たりに、客から自然と笑みがこぼれる。コース仕立てのデザートで客をもてなす特別な時間の始まりだ。
 「テークアウトとは一味違う、作りたてのおいしさを伝えたい」。5年ほど前から抱いてきた思いを実現し、月に3日間だけ、コース料理のようにデザートを提供する会を開く。
 創業は2001年。富士市と静岡市清水区に洋菓子店を営み、総勢40人のスタッフを率いる。経営者としても多忙な日々にあえて新機軸を求めたのは、客が喜ぶ顔を直接見たかったことに加え、「自分の技に正面から向き合う時間が必要と感じた」からだ。
 コースは全部で4品。軽い口当たりの1品目に続く2品目は、旬の果物の持ち味を生かすため、砂糖を控えてさっぱりと。3品目は、「出来たての魅力を伝えるにはこれが一番」という温かい卵のスフレ。目の前のオーブンで膨らむ様子を臨場感たっぷりと客に見せ、甘い香りでわくわくさせる。
 最後を飾るのは、繊細なオブジェのような一品。10種類近いパーツに果物などを盛り付け、皿の上の芸術を完成させる。
 スムーズな流れと構成を練るのに前日まで悩むことも多いが、「この経験を積み重ねれば、何か見えてくるものがあるはず」と確信する。
 ゆったり2時間をかけて味わう合間に、生産者や産地の話、時には試作の失敗談も交え、客との距離を縮めていく。
 「最終的には『今日はどのようにしますか?』と個々の希望に応じる美容師のように、全員を違うデザートでもてなせる境地にたどり着いたら面白い」。人の記憶に残る仕事を追い求め、その好奇心はとどまるところを知らない。

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