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<デザイナー>カクタスデザイン(静岡市葵区)

(2017/10/30 11:00)
漆職人の藤中知幸さん(右)の工房で、和紙に漆を塗った蝶ネクタイの仕上がりを見る黒住政雄さん。「毎日服を替えるように、気負わず身に付けてほしい」と話す=静岡市駿河区
漆職人の藤中知幸さん(右)の工房で、和紙に漆を塗った蝶ネクタイの仕上がりを見る黒住政雄さん。「毎日服を替えるように、気負わず身に付けてほしい」と話す=静岡市駿河区
ネタ帳
ネタ帳

 「パソコンは単なる道具にすぎない。自分の手を動かすのがモットー」と話すデザイナーの黒住政雄さん(58)。手を伸ばす先には、カラフルな柄が印刷された紙の束。はさみで切ってのり付けし、器用に成形すると、市内にある漆職人の工房に持ち込んだ。
 幾何学模様やポップな柄が目を引く手のひら大のリボン。一見女性のアクセサリーのようだが実は男性用蝶[ちょう]ネクタイ。黒住さんが考案し、デザインした。
 素材は布ではなく和紙。静岡の伝統工芸品・駿河漆器の職人である藤中知幸さんが、防水処理をした後、仕上げに漆を塗ると、紙とは思えない硬質な輝きをまとう。工房に整然と並ぶ様子は、羽を休める蝶の群れのように華やかだ。
 大学を卒業後、専門学校を経て地元静岡市の広告代理店にUターン就職。その後、デザイン事務所勤務を経て30代半ばで独立した。独立後はJリーグのオフィシャルグッズや、2007年度グッドデザイン賞受賞の「新日本軍手」など、生活雑貨にも仕事の幅を広げた。
 蝶ネクタイ誕生のきっかけは3年前。岐阜県の美濃和紙との出合いだった。静岡にも優れた伝統の技があるが、その良さは忘れられていると感じていた。「新しく柔軟な発想で静岡発のもの作りの幅を広げていかなければ、将来は先細るだけ」。日頃から感じていた歯がゆさも創作心を駆り立てた。
 和紙は変幻自在な半面、形が戻りやすく扱いが難しい。試作を重ね、昨年やっと商品化にこぎ着けた。近く展示会が開かれ、新作も制作中だ。
 デザイナー志望の若者の前に講師として立つ機会も多い。スマートフォンの検索で、簡単に売れ筋や人気のデザインが分かる昨今は、「自分の目でいい物を嗅ぎ分ける目利きが減った」と嘆く。
 デザイナーの仕事は培った経験や感性が反映される。「若い世代はどんどんアンテナを磨いてほしい」
 自らも毎日書店に足を運び、情報のインプットに余念が無い。「いつどんな仕事が舞い込むか分からない」。自分にしかできない仕事への情熱と探究心をのぞかせた。

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