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<落語家>三島落語会(三島市)

(2017/5/1 11:15)
笑福亭羽光さん(左)と客との距離はわずか数メートル。客の反応は手に取るように分かる
笑福亭羽光さん(左)と客との距離はわずか数メートル。客の反応は手に取るように分かる
「小拍子」
「小拍子」

 三島市の老舗料理店で開かれた三島落語会。会場の大広間に、子どもからお年寄りまで30人余りが座った。高座に上がったのは、同市在住の落語家笑福亭羽光[うこう]さん(44)。「客席を眺めて、どんな世代が多いかで何の噺[はなし]をするか決めるんですが…。今日は選びにくいですな」。ドッと笑いが起きた。
 寄席以上に、客との距離は近い。つい、笑顔のあふれる客席を求め、笑いの多い演目を選びたくなる。「落語は笑いだけではなく、悲しみや苦しみ、いろいろな人間の内面が詰まる。古典落語は、そんな現代に通じるテーマがあるから、今も残る」。笑いの場面以外でも、客の視線を引きつけ、満足して帰ってもらいたい。客席が笑顔で包まれても悩みは尽きない。
 前座修業を終え、二つ目に昇進した2011年から妻の実家がある三島に住み、拠点にする東京の寄席と行き来して活動する。落語家に転身し、ことしで10年がたった。
 出身地大阪の大学で、落語研究会に所属。在学中に芸人になり、26歳で上京。芸人の傍ら、漫画原作者としてもデビューし、週刊誌で連載も持った。しかし、芸人としても、漫画作家としても花開かない。07年には所属するコントグループも解散した。
 34歳。既に家庭を持っていたが、「自分にはまだ落語がある」と人気落語家の笑福亭鶴光さんに入門した。初めて入る寄席の舞台裏で見たのは、楽屋で火鉢を囲む師匠に、袖で三味線を手に出ばやしを奏でる下座[げざ]さん。「別世界に入り込んだ気がした」。同じ芸能界なのに、ゆったりとした空気に傷ついた心が修復された。
 ライバルでもある同世代の仲間と、自作の落語を見せ合いながら、構成を磨く。「師匠から弟子へはもちろん、落語界全体で落語を次へとつなぐ。それが魅力」と感じる。
 三島に移住後、東京での出演機会に恵まれるようになった。同時に、三島落語会にも徐々に常連が増えてきた。「静岡でも落語ファンを一人でも多くしたい。お客さんと一緒に成長したい」。たとえ笑いの少ない演目でも、客に納得してもらえる日を目指して稽古を続ける。

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