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<リフトスタッフ>大室山(伊東市)

(2016/10/31 11:00)
モノレールで山麓に降りる森江英和さん。山肌を覆うススキが静かに穂先を揺らす
モノレールで山麓に降りる森江英和さん。山肌を覆うススキが静かに穂先を揺らす
インカム
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 おわんを伏せたような丸い山容で知られる伊東市の大室山。たいまつが放つ火が山肌全体を焦がす伝統行事「山焼き」まで3カ月余り。斜面を埋めるススキが膨らんだ穂先を静かに揺らしている。
 山麓の券売所と山頂の売店を結ぶ「大室山登山リフト」。施設スタッフの森江英和さん(46)が、リフトと並走する運搬用モノレールをゆっくりと走らせる。山麓の乗降所のそばでブレーキをかけて降車し、荷台に積んだ空き瓶のケースを持ち上げた。見上げた山の色彩に、秋の深まりを感じる。今年のススキも終盤だ。
 「見頃が終わるのはさみしいが、枯れ草が黄金色のじゅうたんになるのはまた壮観」。晩秋の「草紅葉」が見られるのもつかの間だ。
 冬の山焼きで山体は一面、真っ黒な墨色に染まる。若草が育ち、もえぎ色に変わると、初夏の行楽客が笑顔でカメラを向けていく。季節ごとの山の美しさは、リフトの利用者に折に触れて説明する。
 市内で生まれ、地域経済を引っ張る観光産業を間近に見て育った。団体客向けの写真撮影などに携わり、6年前からは登山リフトを運営する池観光開発に勤める。「この土地の目玉スポットといえる大室山で働くことは、誇らしいし、恵まれている」。遠足で何度も乗った愛着のあるリフトで、多くの人に山の表情を見ていってほしいと願う。
 乗客をペアシートに乗せて見送り、到着する人を安全に降ろして出口に誘導する。緊張が見られる子どもや年配者には「一、二の、三」と優しく調子を取る。「広い山での、わずかな接点を大切にしたい」。次のシートを笑顔で迎える。
 モノレールでの運搬作業中、隣を進む乗客とはしばしば目が合う。「最近は山を見て、プリンみたいと言う子が増えている気がする。夏に来たら抹茶プリンみたいって言うかな」。声を弾ませて感動を伝える会話に、色とりどりの置き土産を受け取る思いだ。

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