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<グラブ型付け職人>スポーツショップナイン(島田市)

(2016/10/3 11:00)
木づちでグラブの形を整える花村昌幸さん。素手に近い感触に仕上げる
木づちでグラブの形を整える花村昌幸さん。素手に近い感触に仕上げる
型付け工具
型付け工具

 グラブやバットが壁一面を埋める島田市の野球専門店「スポーツショップナイン」。来店客が買ったばかりのグラブを、店長の花村昌幸さん(56)がそのまま預かる。作業台に載せて、年季の入った工具を取り出す。花村さんは、全国でも珍しい「グラブ型付け職人」でもある。
 全てのひもをほどき、手のひらのように大きく広げて“骨格”を整える。編み直して湯に漬けると、真新しい革の香りが漂う。両手でもみ、木づちで慣らすと、次第に理想の形が見えてくる。持ち主の手になじむことを確信する。
 店を構えたばかりの30年前、大阪で開かれたメーカーの商品展示会で職人の技に出合った。「ただ柔らかくもむというより、わざわざ作り直すという感じ」。初めは驚くしかなかったが、素手と同じ感覚にするという説明は説得力があった。
 自身も川根高時代、県3位まで勝ち進んだ元球児。「この店を開いたのは、選手のそばで役に立ちたかったから」。買ったばかりの硬いグラブを“戦闘態勢”に導くのは、この上ない魅力。メーカーの担当者を通じ、一連の技を習得した。
 ポケットと呼ばれるボールを受ける位置を、グラブのほぼ中央に定める。「網目で挟んだボールを『取り出す』感じはない。捕球後の投げやすさを求めた形」。素早い送球動作のために、さらに追求した形を求める人もいる。
 毎日2、3個は扱い、遠方からチームメートの分まで持ち込む客も少なくない。「常識になかった考え方に賛否はあるが、それだけ野球人が気にするところ。使ってみなければ分からないし、知ってほしいと思う」。進化する技術と新たな理論から、常に目を離さない。
 年配の愛好者と議論を交わし、野球へのさまざまな考え方を受け止める。「何十年も慣れ親しんだというグラブも、もちろん大切にしてほしい。スポーツの取り組み方は人それぞれ」。力を込めていた手を休め、会話に表情を緩ませた。

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