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<美術館長>うきよえ美術館夢灯(掛川市)

(2016/9/19 11:00)
歌川広重の「隷書版東海道五十三次日阪宿」を手に、美術館のテラスから粟ケ岳を望む武藤勝彦さん
歌川広重の「隷書版東海道五十三次日阪宿」を手に、美術館のテラスから粟ケ岳を望む武藤勝彦さん
スケールルーペ。
スケールルーペ。

 浮世絵師歌川広重(1797~1858年)が51歳で出版した「隷書版東海道五十三次」の「日阪宿」には、名所「小夜の中山」と、標高532メートルの粟ケ岳が描かれている。武藤勝彦さん(70)=菊川市=は2006年、作品同様粟ケ岳を望める場所に、私設の浮世絵美術館を建てた。
 館から眺める遠景と作品の稜線を比べると、ほぼ一致する。広重が実際に旅をして「東海道五十三次」を描いたかどうか、専門家の間でも意見は分かれている。ただ武藤さんは「想像力だけでは描けない写実性がある。広重が実際この地に立ったと思いたい」と力を込めた。
 江戸時代、粟ケ岳は「無間山」とも呼ばれていた。山腹に「無間の鐘」が埋まっているとの伝説が残る。鐘を見つけると、一生金繰りに困らないが、無間地獄に落ちるという、少し怖い内容で、歌舞伎の題材にもなった。「往事の旅人は、あの山のどこに鐘が埋まっているのかと思いながら、この峠を越えたはず」。武藤さんは江戸時代の旅情に思いをはせた。
 浮世絵の収集を始めたのは、県立中央図書館司書だった20代前半。「絵師、彫師、摺[す]り師が、分業制で技術を注力した江戸の総合芸術。資料を調べていて、その魅力に取りつかれてしまった」。26歳で中学校教師に転じてからも作品を購入し続け、約600点のコレクションを形成した。「自分だけで鑑賞していては、もったいない」。定年退職を機に、竹やぶだった土地を購入し、同館を開いた。

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