規制の必要性など論点 静岡茶新振興策検討委が始動
(2017/10/27 08:12)-
静岡県は26日、製茶指導取締条例見直しについて(1)条例による規制の必要性と、必要だとしたら残すべき項目(2)誰がどのような規制を行うべきか―を論点に位置づけていることを公表した。さらに、規制だけでは茶業振興は困難だとして(3)時代のニーズに合った的確な施策が必要―という認識を示した。
いずれもこの日県庁で初会合を開いた「新たな静岡茶の振興策検討委員会」(大坪檀委員長)で伝え、了承された。
検討委は茶業関係者や消費者代表、有識者ら14人で構成する。事務局側は1956年に施行された条例の内容や廃止方針に至った経緯を説明。各委員は大坪委員長に促され、それぞれの立場から意見や感想を述べた。
条例は、県内で製造販売される煎茶に、玄米茶を除き、混ぜ物をするには県の許可を必要としている。調味料混入や発色剤使用は許可しないことで着味・着色(発色)した「添加茶」を排除している。
会議の冒頭、吉田茂農林水産戦略監は7月に実施した廃止方針へのパブリックコメント(意見公募)に触れ「静岡茶を大切にしたいという思いは条例廃止に賛成、反対を問わず共通している」と述べた。
■「茶の都」へ前向き議論
県製茶指導取締条例の見直し作業が26日、再スタートした。当初は県議会9月定例会への廃止案提出を予定していたが、茶業界はじめ一般県民から寄せられた多くの反対意見を踏まえ、検討委員会が設置された。
初会合で各委員の条例の改廃に関する意見には温度差がみられたが、先細りする茶業の現状を打破する必要性は一致。茶業の振興策や現状の問題点について議論を展開した。
拡大する海外市場を見据え、ブランド力強化を重視した主張が目立った。加藤敦啓委員(JA静岡経済連)は「荒茶段階で混ぜ物はしないが、消費拡大の意味ではフレーバー茶などの知事への許可申請を簡略化すべき」との見解。川瀬寛委員(県農業経営士会)は生産者のやる気を高める制度設計を提案し、小林昭子委員(県消費者団体連盟)も「本物の味で勝負してブランドを守るべき」と同調した。
茶業振興に関する行政の関与の度合いを疑問視する意見もあった。大坪檀委員長は「製茶条例廃止方針が振興策を前向きに考える契機になった。新しいやり方で県が掲げる『茶の都』をつくるために議論を尽くしたい」と話した。
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