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「デカセギ」の孤独や希望 日系3世の前田さん、写真に

(2018/2/6 17:01)
出稼ぎ労働者を題材に創作活動をしている前田ジュニアさん=1月下旬、浜松市中区
出稼ぎ労働者を題材に創作活動をしている前田ジュニアさん=1月下旬、浜松市中区
前田ジュニアさんの作品。「苦役」…数々の仕事をこなし、手は硬くなった
前田ジュニアさんの作品。「苦役」…数々の仕事をこなし、手は硬くなった

 1990年の入管難民法改正に伴って来日した日系ブラジル人“第1世代”で日系3世の写真家前田ジュニアさん(42)=掛川市=が、90年代に来日した出稼ぎ労働者を題材に創作を続けている。政府が日系4世の受け入れを検討する中、写真に表れた孤独や希望は、若い日系人や日本社会に「デカセギ」の存在を問い掛ける。前田さんは「写真が若い世代と親世代、日本人と(出稼ぎ労働者)の間を埋める存在になれば」と願いを込める。
 アパートの小さな台所で料理をする男の背中や、しわだらけの職人の手。心を揺さぶる恋人や家族からの手紙。深い陰影が印象的なモノクロ写真からは外国人労働者の深い孤独や日常のささやかな喜び、誇りが伝わる。
 前田さんは、掛川市内の自動車部品工場で働く傍ら、商品やイベント写真を日系人向けメディアに提供している。「デカセギ」プロジェクトは二十数年前の初来日後、千葉や静岡県内の工場などで働いた思い出を再現した。写真を撮る余裕も無かった昔の記憶をとどめようと、週末に仲間を誘って撮影を続ける。
 前田さんは「家族を思いながらアパートと職場を往復する毎日。孤独や不安が心にたまった。日本語も分からず、日本人から怒っているように思われた」と当時を振り返る。
 日本語を学んだ今では不便も減った。90年代から環境も様変わりした。市役所には通訳がいて、SNSで母国の家族とも気軽に連絡が取れる。仕事が「きつい、つらい」と不満を言い、親世代の言葉に耳を傾けない若い世代に「日本社会になじもうと必死に生きてきた親世代の努力を知ってほしい」と感じる。
 一方で、大学進学や就職と日本社会で成功する第2世代も出てきた。前田さんは今後、「今」に光を当てた写真も撮影し、若い世代の活躍や変貌ぶりを第1世代や、新たに来日する日系4世に伝えていくつもりだ。

 ■浜松で2月11日まで写真展
 前田ジュニアさんの写真展「デカセギ」が6日、浜松市中区のクリエート浜松で始まった。11日まで。
 出稼ぎ労働者の日常生活をテーマに撮影したモノクロ写真約45枚を展示している。浜松国際交流協会の企画展「日本 ブラジル 『移民』そして『デカセギ』の軌跡」の一環。会場では、初の移民船「笠戸丸」の写真やマンガなど、約100年前に日本からブラジルに渡った移民の歴史に関するパネルなども紹介している。
 問い合わせは同協会<電053(458)2170>へ。

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